ポケモン本部【あの空の先で】 (ページ1)

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1『始まりの空』ページ1

──考えたことは、あるだろうか。
　例えば、この世界の穏やかな空の向こうには『もうひとつの空』があって。そこには自分たちとはまた生体の違う生物がいるかもしれない……なんてことを。
　そして、その不完全を空の住人たちは。

　ずっと、完全な形のこの空に憧れているかもしれないことを。

　空の形が形成されてはいるが、どこか怒っているような色をした極めて表の世界のそれとは似つかない世界。はるか昔世界を想像するほどの力を持ったあるポケモンが何かから逃げるために用意した世界。
　その世界の住人たちは、こぞって表の世界のポケモンの姿をしている。だがその性質が模したポケモンと同じだとは限らない。その新しいいきものたちは、この世界を変えるために、なんにでもなれる幻のポケモンをずっと探していた。ずっと。

　薄い桃色のからだを持つ、幻のポケモン──ミュウを。

　だがこの不完全を世界に、そんな完成されたポケモンなどがいる訳もなく。だから彼らは手がけることとした。
　初めの黒いどろどろしたいきものは、形がまとまらないだけのアメーバのようなもの。──それを何度も繰り返し、生物を生み出す実験は、中盤に差し掛かる。

　そう、何も知らずに皆が表の世界で青い空を眺めてる……ちょうど今。

　ポケモン本部第一章【あの空の先で】