◆ ページ17
「パーティー呼んでくれてありがとうな〜!! ラインばっちりみたで!」
「パーティーってほどじゃないって、良いから座れよもう……」
「わあー!! 部屋ごっつ綺麗なっとる!」
「人呼ぶんだから綺麗にくらいするよ!」
彼は「まあ主役はこれやな!」とケーキの箱を僕に見せる。「なんでそんな大きいの買ったんだよ」と言えば「おいが沢山食うけんたい」と言われて、いや誕生日なんだから主役は僕だろ! と思わず突っ込んでしまった。──そしてその後ふたりでげらげら笑ったのだった。
遅い時間までどんちゃん騒いで、彼が程よい時間で切り上げて帰って行く。「また来るだろ?」と言えば彼は目を輝かせて「何回でも来るわ!」と笑顔で手を振って帰っていった。彼はこんなに面白い男だったのか、知らなかった。
さてと、誰もいなくなった部屋の中。
食べたものは粗方ふたりで片付けたが、皿とか、細かいものの片付けがある。寝る前にこれも終わらせようと僕は席を立った。
机の上には1切れ残った3角ケーキ。
誰が食べる訳でもないけど、残った。
僕はそこに何本か残ったローソクを建てて、火を付けた。
ハッピーバースデー、僕。やっぱり誕生日はケーキだよね。僕は思わずそう口に出した。火の色がはっきりわかるねってまた口に出す。
明日も早い、早く寝て、さてはやく起きないとな。スマホでアラームも掛けて。これで良し!
僕の思った君の象も間違いでなかったとわかった時、僕は、何回目か分からないけどまた泣いたんだ。そして君の中の僕の象も間違ってなくて、ね。安心したんだ。
箱の中には何も無かった。何も無かったんだ。だから忘れないように君との思い出をそっとしまうよ。大丈夫、もうこの箱は、シュレディンガーの猫じゃないから。
おやすみ。明日もきっと、誰が望んだわけでなくとも世界は回り続けるのだろう。僕は布団を頭まで被って、すやすやと落ち着いて眠りに着いた。
君がいなくても歩き始めた。新しい道を、僕は新しいだけ進んでいく。
──でも部屋はまだ、暗いままだった。
アトガキ:シュレディンガーは結果を知っていた→←01:新しい1歩と──
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びぃ(プロフ) - #よにん。@str48&変人系カップルさん» お返事遅れてしまい申し訳ありません!完結までお付き合い下さり本当にありがとうございました……!!!m(*_ _)m (2020年8月29日 19時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
#よにん。@str48&変人系カップル(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2020年8月19日 20時) (レス) id: ac2334f46f (このIDを非表示/違反報告)
びぃ(プロフ) - 「 」さん» お返事遅くなりました!ありがとうございます…!駆け足最速乱文であったにも関わらず最後まで御付き合い下さり感謝しかありません…!! (2020年8月19日 12時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
「 」(プロフ) - ご完結おめでとうございます。素敵な作品で、ついつい見入ってしまいました。ありがとうございました!!! (2020年8月13日 8時) (レス) id: e81c17c75a (このIDを非表示/違反報告)
#よにん。@str48&変人系カップル(プロフ) - びぃさん» 返信ありがとうございます!通知は全然大丈夫なんですが...体調が心配だなあと感じておりまして。。。無理をしていないのなら良かったです... (2020年8月13日 5時) (レス) id: 024f1c0ff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:びぃ | 作成日時:2020年8月10日 18時