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兄を求めて 38 ページ40






...私は、貴方らと出会えて幸せです。

水晶の煌めきは増す一方で、兄様が近いことを示しています。

だから私は、私の持つ深緑色のクリスタルを、ここに授けます。

この国の方はきっとこの手紙を見つけた時、兄様の元へと届けてくれると、信じているので。



...私の兄様は、こう言いました。

『神は人を殺す。崇拝者も、非信仰者も、差別で弄び、苦しみ踠くのを、嘲笑う』

これが事実なのかは、誰にも分かりません。

ですがこれが事実であったら、民は死ぬことをやめません。

生まれてはすぐに死ぬ...これが運命であるならば、私はこの世に存在したくない。



...私は、この世に〈シャス・ヴィトン・フォンダシオンが存在した〉という理論を残したいわけではありません。

持論を述べているのみです。



...未来が示された手帳など、存在しません。

でも、あったら面白いじゃあ、ないですか。


私がどのようになってるのかが、分かるんですから。




...私は、愚か者です。

他人を〈恐怖〉と呼び、自分を〈勇気〉と呼ぶ...

まるで、膝が嘲笑っているようで。

だから、神は私を捨てた。



...でも今は、幸せ者です。

...懇願していた兄様に出会えて、私は水晶に込めた使命を果たせた。

神は、私を捨ててはいなかった。

神は、未来が示された手帳を持っていた上での決断だった。

...私には、命という重みを持っている。



だから、オスマンさん、いえ...兄様...


生きてください。



民のために、神のために、大事な仲間のために、私のために...


それだけです。

私はそれ以上、何も望みません。




...生きてください、兄様。






シャス・ヴィトン・フォンダシオン

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作者名:扇@リョク | 作者ホームページ:uranai.nosv.org/u.php/novel/usiro_member/  
作成日時:2018年6月17日 14時

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