兄を求めて 34 ページ36
オスマンside
俺はシャスに連れられて、屋上へと来た。
大砲が何個も並んでおり、相変わらずかっこいいものの、シリアスな雰囲気には使えないものだ。
shas「...すまんな、オスマンさん。突然...」
『いや、大丈夫やで』
彼女は昼下がりの風に軍服を揺らがせ、俯いた。
shas「...私が兄を探しているのは、知ってるな」
少しずつ顔を上げて喋った彼女の目尻には、大粒の涙が浮かんであった。
何をしたくてそんなに俺を探してるん、分からんのや、ブランド国の幹部たちと仲良く未来を創ればええやろ？何故そんな俺にこだわりを持つ？
shas「...わたしは、かんがえた」
弱々しい声で、俺の耳を掠った。
あの頃のシャスの叫びが、瞼の裏を駆けた。
あの頃のシャスの苦しみが、脳をブッチギリに貫いた。
shas「私の兄は、オスマンさん、貴方ではなかろうか、と」
...嗚呼シャス、もうそこまで来ていたのか。
『...その根拠は』
shas「根拠は、ない。けど、なんとなく、だ、違っているだろうけど、な」
...そうやで、
という言葉は、胸の奥にしまった。
だってそれ言ったら、死ぬ。
寂しいけど、未来がまだあるから。
『...その根拠については、俺からは何も肯定せぇへん。
生憎様、自分を欺く人に、事実を教える趣味はないんや。どうしても知りたいっちゅーなら、ロボロとかに聞けばええ』
shas「違うんだｯｯ！！」
シャスの大きな声が、空にこだまする。
風が鳴り、シャスの涙袋から零れ落ちた涙が俺の服に染みていく。
shas「私は、オスマンさんからの口から聞きたいんだ...！！
...今のオスマンさんは、私の知るオスマンさんではない...！！！」
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作者名：扇@リョク | 作者ホームページ：uranai.nosv.org/u.php/novel/usiro_member/
作成日時：2018年6月17日 14時
