兄を求めて 13 ページ15
しんぺい神side
俺はロボロに頼んどいたシャスの個人情報の特定の進捗を見に、地下室へ行く。
情報管理室、関係者以外立入禁止と書かれた扉にパスワードを打ち込み、中へ入ると、相変わらずの暗い部屋でパソコンを巧みに扱っていた。
生憎ヘッドホンをしているため、何を話しかけても今は聞こえないだろう。
俺は暇潰し用の資料をファイルから取り出し、近くにあった電卓で累計の計算をしていると、先程入ってきた扉からエーミールが出てきた。
em「おや、しんぺい神さんじゃないですか」
『ん、どうした?』
em「いえ、シャスの情報の共有をしに…」
『…〈サイコメトラー〉か』
em「ええ。ですが、現在は一時的な記憶喪失なんでしょう?何も出てはきませんでしたけど…来訪者がいましてね…」
『…来訪者?』
em「はい、なんでも、シャスの部下だとか…」
『…取り敢えず、待たせるわけにはいかない。オスマンとシャス、エミさんで現状を話していて。それで今日はなんとかなると思う』
em「…分かりました」
そう言って素直に消えていったエミさん。
俺はロボロに近づき、ヘッドホンを思いっきり外す。
rb「ぅおっ!なにすんねん…って、ペ神か」
『個人情報の特定の進捗を聞きに来た』
rb「まだ完全に分かってるわけじゃないけど、判明した観点は何個かあるで」
『いや、今シャスの部下が来てるっぽくてな』
rb「今記憶喪失なんやろ?分かるわけがないやろ」
『そーなんだけどねぇ…取り敢えず、シャスの情報』
rb「えっとね、名前は[シャス・ヴィトン]。現在はブランド国の総統。非戦争の世界を訴えている国のひとつ。幹部が5人と少ない状況で如何なる壁も乗り越えてきてる、最強の国…」
『シャスのことを完全に分かるのはいつくらいになりそう?』
rb「うーん、1週間…1週間前後かな〜、わかんないけど」
『取り敢えずの内容だけでいいよ、いずれか記憶は戻るし。シャスがシャスである存在確認が出来れば』
rb「おけ、」
と言って、ヘッドホンを元に戻したロボロ。
俺は書きかけの資料をファイルに閉じ、扉を開けて出ていく。
どことなく、俺に助けを求める声がした。
…助けて、って。
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作者名:扇@リョク | 作者ホームページ:uranai.nosv.org/u.php/novel/usiro_member/
作成日時:2018年6月17日 14時