兄を求めて 5 ページ7
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意識が芽生え、私はまず、口元に違和感を感じる。
これは…なんだろう。
透明な青色をしていて、管を通れば何かに繋がっている。
そして、大きな人が私の手を思いっきり握っている。
栗色の髪をした、緑の軍服を着た人。
ぎゅうう…と繋いで離さない手に痛みを感じ、ぴくりと私の手が動く。
??「…ッ?!シャ…、ス……ッ!!」
思いっきり顔を上げれば私の瞳を捉えた、緑の人。
綺麗な、深緑色の瞳…
美しいな…なんて思ってると、私の手から温もりが消えた。
??「…自分の事が、分かるか?」
『…じぶんの、こと』
繰り返すように私は答え、自分のことを思い出そうとする。
だけど、部分的に何も出てこない。
だから、『わからない』と答えた。
??「ペ神、やっぱ途中観察が必要や」
ペ神、と呼ばれた人は、とてもほわほわとした雰囲気を漂わせていた。
白衣着てるし、お医者さん…かな
??「…おれは、しんぺいしんっていうんだ。よろしくね、」
そう言って来てくれたしんぺい神さん。
それに続けて私の手を握っていた人が自己紹介をした。
??「俺は、オスマン。この国の、外交官っちゅーものをやっとるで」
sn「あ、俺はお医者さんね?」
と、付け足したしんぺいさん。
どちらも温厚そうだ、と思い、私も自己紹介をしようとするが、自分のことが思い出せないから、何とも言えない。
sn「ちょっとさ、今から血ィ採っていい?」
『…血、ですか』
os「そや、お前のことを知るために、な」
『そう、ですか』
私は1つ呼吸を置き、良いですよ、と、答えると、しんぺい神さんは私の口元にあったブツを取ってくれ、立てるか?と聞いてきた。
os「無理やったら、そこで採るけど…出来るんやったら、立とうな」
私は上半身を上げ、視線を正常の位置に戻す。
目の前がかなりボヤけるものの、目を何度か瞬きすると、収まってくる。
os「やっぱ、貧血やな」
sn「外傷による多量出血かな…貧血に関してはサプリか食生活の改善だからな…」
os「でも見た感じ、慣れてるんやな…かなり前から貧血症状を患わっていたんかな…」
難しい話を私は頭の中で整理し、足を左にやって地に足をつける。
自然と「よいっしょ…」と声が溢れるものの、少しずつ重心を両足にのせていく。
そして立ち上がった時、見えたのはボヤけと、深緑色の瞳から溢れた透明の涙だった。
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作者名:扇@リョク | 作者ホームページ:uranai.nosv.org/u.php/novel/usiro_member/
作成日時:2018年6月17日 14時