G!2 ページ2
「スー・・・。スー・・・」
近付いた神威から聞こえたのは、安らかな寝息。という事は、先程の「殺しちゃうぞ」は・・・寝言?
『団長、起きて下さい。書類を・・・』
神威を揺り動かそうと手を伸ばしたその時、○○の視線がある一点で留まる。○○の視線の先にはヤツが居たのだ!
『ご・・・ゴ・・・っ!!』
そいつは主に台所に居て、時々空を飛んで人々を驚かせる、あの黒光りするヤツだ!
いつの間にかGは神威の机に這い上がっており、その触角を上下左右に動かしながら神威の方へ近付いているではないか。Gは大嫌いだが、このままでは神威が・・・っ。
『な、何か叩く物・・・っ』
慌てて要らない物を探すが、自分の手に丁度紙を持っているではないか。
『・・・・・・』
紙を振り上げ、Gを殺意のある目で見つめる。思いっきり叩いてやろうと振り下ろそうとした瞬間・・・。
「・・・何してるの?」
○○の殺意で起きたのだろうか、神威が机から顔を上げてこちらを見ている。
『団長!Gが!Gが団長に近付いてます!』
「G?」
指を指す○○を見つめ、その指の先を見つめると、ヤツは触角を揺らして神威と対面している。
「あぁ。何だ。Gってゴキブリの事か。それ貸して」
○○が持っていた書類を神威に渡し、それをクルクルと丸めると、バンッとGを叩いた。そして丸めた紙を元に戻し、その紙で退治したGを包んでゴミ箱に入れた。
「それで、何の用?」
机の上に散らばっている書類を順番に整理していく神威を見ながら、○○は考える。
あれ?何しに来たんだっけ?Gを倒しに?いや、大事な用があったではないか。
『あ!団長、阿伏兎さんに頼まれた、大事な書類を持って来ました』
一瞬忘れてしまったが、ちゃんと思い出した。そう、大事な書類を渡さないといけないのだ。だが、それは・・・。
○○はゴミ箱を見て、顔を青ざめた。これはもう、阿伏兎に怒られるしかない。
「え〜。面倒くさいなぁ。でも、折角○○が持って来てくれたんだし、一応受け取っておこうかな。それで、それは?」
○○の手にそれらしきものは見あたらなかったので、辺りを軽く見回す。
『そこですよ、団長』
○○が指差す先は、先程Gを捨てたゴミ箱。そこにはGと共に、○○が持って来た大事な書類が捨てられている。
「え・・・。もしかして、さっきの?」
『はい』
「『・・・・・・』」
暫く二人は何も言わずに見つめ合っていた。
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作者名:桜輝 | 作成日時:2020年6月1日 21時