好きになってくれて、ありがとう ページ1
『・・・あ』
艦内を歩いていると、神威の後ろ姿を見つけた。直ぐに駆け寄り声を掛けようとしたが、その場に立ち止まってしまう。神威は女性の団員と話をしていた。任務の話でもしているのだろうか。その人との会話は中々途切れない。その光景を見て、○○はモヤモヤとする。この感情は嫉妬。神威は数ヶ月前から付き合い始めた○○の恋人だ。だが、神威はモテる。あの整った顔と強さがあれば、モテてしまうのは当然だ。
『・・・・・』
「あ、○○!」
○○の存在に気付いた神威は女性と別れ、○○の元へと駆けて来た。
「そんな所に突っ立って、どうしたの?」
『・・・・・・』
神威が自分以外の女性と話していると不安になる。神威が、その相手の元に行ってしまうんじゃないかと考えてしまう。○○は神威をギュッと抱き締めた。どこかへ行ってしまわないように。
「○○・・・?・・・あ、もしかしてさっきので嫉妬してる?」
図星を突かれ、○○の体がピクリと動く。
「ねぇ、嫉妬してるんでしょ?」
『・・・・・・・』
「・・・・・・・」
答えない○○に、神威は○○の顎を掴み上を向かせ、顔を近付けていく。○○はキスされると思い、キュッと目を瞑った。
『・・・・・・』
しかし、訪れるであろう唇への感触は何もない。そっと目を開けると、間近まで迫っている神威の顔があった。
「○○、キスして欲しいなら正直に言いなよ。嫉妬したって。正直に言えたら、キスしてあげる」
と言ったものの、恥ずかしがって『キスしなくてもいい』と言う確率が高い。そう思ったからこそ、冗談半分で言った。
(素直じゃない所も、可愛くて好きなんだけどね)
そう思い、神威は小さくクスッと笑う。
『嫉妬・・・した・・・』
「素直じゃないなぁ。まぁ、仕方が・・・ん?」
予想とは違った言葉に、思わず聞き返す。
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作者名:桜輝 | 作成日時:2020年9月3日 21時