レイニーデイ2 【影山飛雄】

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同い年とは思えない程、
光り輝いて見えた。


きっと、青春してる人、というのは、
こういう人のことを言うのだろう。
確かに、
友達がたくさんいて、
昼食を群れてとって、
放課後に買い食いをして、
休日は友人と出掛ける予定でスケジュール帳が埋まる。
そんな日々を送ること、これも、青春だ。
むしろ、私が中学時代憧れていた"青春"というのは、
こういうものだった。
そして、そこに、
少女漫画でおなじみのエピソードが加わる。
それこそが、青春の全てだと、
そう思っていた。


「へ、今、なんて、」


しかし、
今目の前にいる、
天才バレーボーラーの、
人よりも頭一つ以上飛び抜けた技術を持つ、
"影山 飛雄"。


「っ、」


誰よりもバレーボールを、セッターを、
愛するスーパーボーイ。


「っその、」


彼のように、
何かに夢中になって、
ただ何かをやり遂げるために、
無心になって、
追いかけ続ける。
走り続ける。


「……あざス、」


その姿、態度、行為、
その全てもが、
"劇的青春"を表しているのだと、
目の前の彼の影が、
語る。



朝練の後、日向君が嘔吐するなど、
それなりのアクシデントはあったが、
なんとか体育館は、平穏を取り戻した。


日向君と影山君は、始業時間までの時間を、
レシーブの練習やその他諸々に使うらしい。
私には、一応駆け出しマネージャーとしての一任があるので、
先輩達と一緒に、体育館へ残ることにした。


「A」


柔らかい声で、菅原さんが私を呼ぶ。
そして、こっそりと、控えめに、指を指した。
その指先の延長線上を見つめれば、
180cmと少しの彼が、
キョロキョロと目を泳がせながら、突っ立っていた。


菅原さんが焦ったように、もう一度指差す。
何を意味しているのかわからなくて、
首を傾げてみる。
さすれば、菅原さんは、
わしゃわしゃと柔らかそうな髪を掻いて、
うんともすんともつかない声をあげた。


口元が微かに動いて、
何かを告げる。


"ほら、何か言いたそうな顔してるだろ。"


「えっと、？」


普段から、あまり表情筋の豊かでない彼の顔が、
私の方へと向けられる。
一度目があっては、
彼はもう一度逸らした。
そして、また目を合わせる。
3秒くらいして、また逸らす。
またまた、目線を合わせるけれど、
今度はお互いに恥ずかしくて、
そっぽを向いた。


ギャラリーから、焦れったい！という声も聞こえてきた。


突如、彼が声を張り上げた。


「明日も！！


来るんスよね！！」


『群れる日』

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