もう一度、抱きしめたい。【TH】 (ページ40)

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「テヒョナ、これはどう足掻いてもお前が招いた結果だよ。Aを傷付けているのは、確かに他の女の子たちかもしれないけど、テヒョナがもっとしっかり彼女たちと向き合っていれば、こうはならなかった筈だ」
「ちょ、ホソク先輩…！」

ホソク先輩の言葉に、ジミナが立ち上がる。それでも、ホソク先輩は続けた。

「ハッキリ言わせて貰うけど、Aと付き合うまでのテヒョナの女付き合いは、間違っても推奨される物じゃないよね。それが引き金になって今回のことを招いてるんだ。それは分かるね？」
「…はい」
「だったら、テヒョナは今、Aをその過去や嫌がらせから守ってやるしかないんじゃないの？過去はもう変えられないんだ。テヒョナが彼女たちを説得しようと試みたところで、彼女たちが納得するとも思えない」
「…」
「テヒョナはもう昔のテヒョナじゃないんだ。テヒョナはAを全力で守って、その子たちに証明してみなよ。自分の気持ちがホンモノだって。Aがホントに好きなら、そんな嫌がらせに負けずに立ち向かえばいいんだよ」

ホソク先輩が、俺を真っ直ぐに見据えて言った。俺は、掌を握り締める。

「…分かりました。俺、これからはAから目を離しません。朝も、帰りも、ずっとAと一緒にいます」
「…」
「俺が女の子にだらしなかったせいで、Aが傷付くのが本当に悔しいです。でも、だからって逃げません」

俺は言った。

「今更昔を悔いてもしょうがない。だから俺は、Aを守りきります。絶対にもう傷付けたりしない」

俺がそう言うと、ホソク先輩が微笑んだ。

「…うん。俺は、テヒョナにはそれが出来ると思うよ。お前は強い男だよ、テヒョナ」
「…俺も、なるべくAから目を離さないようにするよ。テヒョナはAと違うクラスでしょ？多分、教室の中では俺が一番、Aを見ていられると思うから」

ジミナが言った。ジミナは、Aと同じクラスだ。俺は頷いた。

「ありがとう、ジミナ。ホソク先輩も…暫く、部活でもAの傍にいさせて下さい」
「うん。俺も、部活内で怪しい動きがないか見ておくよ。お前はAの傍にいてあげな」

二人に頷き、俺は再び手を握り締めた。…もう、Aを傷付けない。この手で守ってみせる。そう、誓いながら。