もう一度、抱きしめたい。【TH】 (ページ30)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:56,957 hit

30 ページ30

そして、夏休み明け。

俺とAが手を繋いで登校して来たのをキッカケに、付き合っているという事実は瞬く間に学校に広まった。

Aはこの通り、学校でも有名な女の子だったし、俺も俺で目立つ方だったから、変な虫が寄り付かないようにするためには、こうするのが一番だと思っていた。

そう、この時までは。

「…ちょっとテヒョナ」

宿題を忘れた俺にノートを見せるジミナが、俺の前の席に腰掛けて言った。

「ん？」
「そのお花畑全開な感じ、いい加減にしてくれない？見てるこっちが恥ずかしい」
「えぇ～？」

俺はペンを回して言った。

「何だよジミナ～。親友の恋が実ったんだよ？もうちょっと喜んでくれてたっていいじゃんよ～」
「勿論喜んでるけどさ…それもここまでベタ惚れ全開になると流石に鬱陶しいって言うか…」

ジミナが何か言っているが、気にしない。俺は借りたノートからの写しを開始した。

「Aは嫌がらないの？そんなに休み時間毎に会いに行って、ベタベタしてさ」
「なに、ジミナ。彼女がいないからって僻んでるの？」

俺の言葉に、ジミナが顔に青筋を立てる。あ、言葉間違えたかな。

「ん～、まぁ喜ばれはしてないけど…でも会いたいし、好きなんだからしょうがないじゃん？」
「…喜ばれはしてないんだ」

ジミナが苦笑して言った。

「でも、テヒョナがそんなにベタベタなタイプだとは思わなかった。今までが本気じゃなかっただけだろうけど、テヒョナ、好きになると甘えるタイプなんだね。これまでは結構甘えられてきたじゃん？」
「…そうだっけ？」

前の女の子たちとのことは、忘れちゃった。