もう一度、抱きしめたい。【TH】 (ページ27)

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「綺麗だね」
「うん」
「……テヒョンくん」

Aちゃんが言った。

「優勝、したね」

そう言って、俺を振り返る。

「…うん」
「どんな気持ち？」
「…嬉しいよ。でも」

俺は、Aちゃんの手を取る。

「俺には優勝よりも、もっと欲しいものがあるから」

そう言って、俺はAちゃんを見つめた。

Aちゃんは暫く俺を見つめ返したあとーーそっと口を開けた。

「…あのね、テヒョンくん」
「うん？」
「私…実はとっくに気付いてたの」

Aちゃんが言った。

「テヒョンくんがダンス部に入ったら…絶対うちの部は優勝できるって。ジミナはずっとテヒョンくんにダンス部に入って貰いたいって言っててね。だから私もテヒョンくんのことは知ってた。それで、ジミナがテヒョンくんにダンス部に入って欲しいと思うキッカケになった、体育の授業でのダンスのフリの動画を見せてもらったの」
「…」
「その時にね、私、ジミナの言ってたことが分かった。テヒョンくんを絶対にうちの部に欲しいって。だからあの日…テヒョンくんと初めて会った日、言ったの。これを機にダンスのこと勉強してみてね、って」

Aちゃんの言葉に、俺はジミナの文化祭のステージでのことを思い出した。

そう、俺とAちゃんはあそこで初めて出逢って。