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「はぁぁ〜〜〜。上の許可も取らずに勝手に動いちまった〜〜。最悪の場合公務員グビになっかもな〜」
広いターミナル内を歩きながら、松田がぼやく。
「心配するな。もしお前のクビが切られたらパパの会社で雇ってやろう」
「心配も何も、今更会社員じゃモチベが続かねぇっつの」
ターミナル内は無人だ。だが、機械は全て作動しているし、明かりもついているし、ドアも空いているし、職員のデスクも整理されていない。
急を要する避難だったから仕方がないとはいえ、そんな生活感が爆発によって無になってしまうという最悪の事態が、Aと松田の焦燥を駆り立てた。
「まあ、事態は好転してるわよ〜。
今の私には、お前が爆弾を止めて一目おかれる未来が見える」
「まあ、俺に解除できない爆弾はねーわな」
松田は、ターミナル内から盗んできた工具箱を担ぎ、したり顔で言った。
「よほど自信があるんだな。でもお前なら信用できるか」
Aもまた、彼を信用しきってしたり顔である。
「で、話は変わるけどもどんな爆弾でどこにあるのかはわかるのか?」
「さあ?知らない。
もうお前が来ちゃったから、AnotherENDは見れないんだな」
Aはとある一点を指さす。おおよそ、というか広範囲ではあるが、そこは海の埋立地であり、円柱状のオイルタンクが数十並んでいる。
「だが、お前が来るまではあそこ1面が燃えていたな。着火したオイルが海に浮かんで、1面火の海だった」
穏やかに波打つ海は、とてもでは無いがそんな地獄のような光景を映し出すとは思えない。
「範囲広すぎだろ…。あん中からちいせぇ爆弾探すのかよ…」
「絞り込んだ方だろ」
Aの言う通り、この広すぎるガスターミナルの中に比べれば、この埋立地は絞り込んだ方である。
「…あーなんかやる気無くなってきたな」
松田は気だるげに癖のついた猫っ毛を掻きながらも、意を決したように埋立地へと歩き出した。
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あまちー(プロフ) - いずみさん» ありがとうございます!キャラの濃い夢主ちゃん、かあいいですよね (2022年12月15日 5時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
いずみ - 夢主好き (2022年11月13日 19時) (レス) id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
あまちー(プロフ) - 莉久さん» うわー😭嬉しいお言葉ありがとうございます!感情移入しにくい夢主かなって少し後悔してたんですけど、そう言っていただけると励みになります🙇♂️ご期待に添えるよう更新頑張ります💪 (2022年8月25日 16時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - めっちゃくちゃ面白くて、つい一気読みしちゃいました!夢主ちゃんの性格が大好きです!この事件がどう解決されるのか、恋愛は発展するのか……楽しみです!更新頑張ってください!!! (2022年8月24日 13時) (レス) @page5 id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまちー | 作成日時:2022年8月21日 22時