ギュッとして！

１８ ページ18

川西サイド



Aちゃんの話は、想像を超えるものだった。



「どうしたらこの状況から抜け出せるかがもう、分からなくて…」



…うーん、そうやな…



「嫌がらせメールとか送られてきたんやろ？そのメール、課長より上の人に送りつけてやればええやん」



「あまりおおごとにはしたくないんです！それに、私が課長や中澤さんの標的になってれば、他の人は安全なんです！」



なに言うてんの…



Aちゃんが辛い思いしてまでやることやないやろ。



あー、なんだか腹たってきた。



「相楽さん、」



怒りで声、震えてないやろうか。



「はい…」



「もう、相楽さんは十分頑張った。むしろ頑張り過ぎや。初めて会ったとき、もうすでに倒れてたやん。楽になってええねんで」



「……でも」



「でもやないねん！」



こんなに感情的になってる自分にびっくりした。



「これ以上事を長引かせたら、相楽さん壊れてまうで！頼むから…もう、終わらせてくれ…」



やっぱり、もうどうしようもないくらい、Aちゃんのこと好きになってもうてるわ…



「大丈夫だから、僕を信じて」



「……」



Aちゃんは、なかなかやるとはいってくれなかった。



僕からしたら、なにを迷うことがあんねやと思うてしまう。



長い沈黙に耐えかねて口を開こうとしたとき、



「…私、やります。川西さんに言われて、決心しました」



やるって言うてくれた。



「…頑張れ、相楽さんは間違ってないんやから」



「…頑張ります…！」



電話の向こうの彼女は、泣き笑いの表情で力強く宣言したように感じた。

１９→←１７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す