検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:190,325 hit

13 ページ13

月曜日。



川西さんのお陰で、いつもよりかは会社に行くのが辛くなかった。



「おはようございます」



「相楽さん、ちょっとこっちきて」



「はい、」



課長に呼ばれて近くまでいくと、机の上には大量の資料。



「相楽さん、これ休んでたぶんね」



そう言われてひとかかえもある量を渡された。絶対1日でこんなに溜まるはずないのに。



「あの…これ、ほんとに1日の量ですか?」



いつもなら、何も言わずに引き受けてただろう。でも、私、間違ってるって思った事は、はっきり言うって決めたんだ。川西さんに勇気をもらえたんだ。



「そうだが、何か文句あるのか?」



「でも、おかしいですよ。それにこないだの金曜日は体調不良という事でお休みをいただきま…」



喋ってる途中で、手首を掴まれた。



「…」



あまりにとっさのことで、声が出なくなる。課長の方を見ると、ゾッとするような笑みを浮かべていた。



「相楽さん…課長の命令、聞けなかったらどうなるか分かってるよね」



ちょっと言っただけなのに、



「クビだよ、クビ」



課長がこんなにおかしな人だったとは、思わなかった。



「返事は?」



「…」



課長の手首を握る力が強くなる。



「返事は?」



喉の奥から声を絞り出した。



「はい…」



手首がパッと離され、それと同時に持っていた資料を、全部落としてしまった。



慌てて拾い集めたが、なかなか拾い終わらない。



誰か一緒に拾ってくれる人はいないかと周りを見たが、みんな自分の身を守るのが第一、誰も手伝ってはくれなかった。



一緒に拾ってもらうのを、諦めてまた拾うのを再開すると、手に強い痛みが走った。



「痛っ…!」



手を見ると、ヒールの部分が手の上に乗っかっていた。



「あら、ごめんなさい。あなたも床に落ちてる紙かと思って踏んづけちゃった」



中澤さんだった。
中澤さんの顔を見ると、ざまあみろと言わんばかりの顔をしていた。



手からは血が出ていて、ヒリヒリと痛んだ。



もう、泣きたくなった。



顔を見られないように、下を向いて、残りの資料を拾い始めた。

14→←12



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (60 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
266人がお気に入り
設定タグ:和牛 , 川西賢志郎 , 夢主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

さら(プロフ) - ありがとうございます!これからもちょくちょく更新していきたいと思ってますので、楽しみに待っててください^_^ (2019年9月20日 7時) (レス) id: abcbda1e9b (このIDを非表示/違反報告)
ハンナ(プロフ) - 一気読みしてしまいました!面白くて、何だかあったかい気持ちに。更新楽しみにしてます。 (2019年9月19日 1時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - 黄色パーナさん» コメント、ありがとうございます!毎日更新というわけにはいかないですが、これからも頑張って書いていきますので、よろしくお願いします。 (2019年4月14日 9時) (レス) id: abcbda1e9b (このIDを非表示/違反報告)
黄色パーナ - 愛読しています!更新楽しみにしています(*^▽^*) (2019年4月14日 7時) (レス) id: ceaebda915 (このIDを非表示/違反報告)
あやかちん(プロフ) - さらさん» なるほど……そんなことが… (2019年4月9日 22時) (レス) id: 34fff6315e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さら | 作成日時:2019年3月24日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。