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お酒が少し入ってたこともあったからだろうか、泣き疲れてそのまま机に突っ伏して寝てしまっていた。
ゆっくりと顔を上げて時計を見ると、夜中の12時だった。
横を見ると川西さんがオシャレにワインを飲んでいた。
「おはよう。って言っても夜中の12時やけどなあ」
「すっかり寝ちゃってた…」
「寝顔、可愛かったで」
「…なっ!」
初対面の人間に向かって何言ってるの、この人。
「ハハッ、からかってる訳やないで、ほんまのことやから」
「やめてくださいよ…」
けど、気を使ってくれたんだろうな。やっぱり、川西さん、いい人だ。話してよかった。
「じゃあ、相楽さんも起きたことやし、もうそろそろ帰ろうかな」
えっ、川西さん、もう行っちゃうの?
「ママ〜、お勘定!」
「はいはーい、今いくからちょっと待ってて!」
もう、このチャンス逃したら、会えないってことだよね?
そう思った途端、勝手に言葉が口から出ていた。
「あっ、あの!川西さん、また会いたいです」
…なんか告白みたいになってない?
「いやっ、その…また一緒にお酒飲みたいなあみたいな…」
頰がカアッと熱くなる。
「ええよ。じゃあ連絡先交換せえへん?」
「はっ、はい…!」
ちょっとてんぱりながらスマホをカバンから取り出して、連絡先を交換する。スマホの画面に映し出される『川西賢志郎』の文字。
下の名前賢志郎って言うんだ。北斗の拳?
「また、会おうな」
『また』また川西さんに会える。
「はい…!」
「賢ちゃん、おまたせ、お勘定だよね」
「私、払います」
かばんから財布を取り出す。
「ええよ、俺が飲んだ分なんだから」
「倒れた時に助けてくださったお礼と、話聞いて慰めてくださったお礼です」
お礼にしては安いものだよ。もっと払ってもいいくらい。
「…でも」
「これは譲れません」
「…ほな、お言葉に甘えて払うてもらおうかな」
財布からお札を取り出して、ママに渡す。
「はい、じゃあ500円お釣り」
500円玉を財布に入れながら、ママのお店を出た。
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さら(プロフ) - ありがとうございます!これからもちょくちょく更新していきたいと思ってますので、楽しみに待っててください^_^ (2019年9月20日 7時) (レス) id: abcbda1e9b (このIDを非表示/違反報告)
ハンナ(プロフ) - 一気読みしてしまいました!面白くて、何だかあったかい気持ちに。更新楽しみにしてます。 (2019年9月19日 1時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - 黄色パーナさん» コメント、ありがとうございます!毎日更新というわけにはいかないですが、これからも頑張って書いていきますので、よろしくお願いします。 (2019年4月14日 9時) (レス) id: abcbda1e9b (このIDを非表示/違反報告)
黄色パーナ - 愛読しています!更新楽しみにしています(*^▽^*) (2019年4月14日 7時) (レス) id: ceaebda915 (このIDを非表示/違反報告)
あやかちん(プロフ) - さらさん» なるほど……そんなことが… (2019年4月9日 22時) (レス) id: 34fff6315e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さら | 作成日時:2019年3月24日 23時