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仕事終わりに渉とご飯に行った。それ自体は良くあることだ。そして2人ともちょっぴり楽しくなってしまうのもまた良くあることだ。

しかし、いつもとはどこかが違う。目の前にいる彼は、黙ってお酒を口にしながらチラチラと俺の方を見ていた。

まあおおかた、相談したいことでもあるんだろう。そう思った俺は、渉に尋ねた。

「なに、どうしたの?」

そう言うと、ちょっと困ったような顔をした。

「あの…さ。太輔さ、30代になったら考えすぎずに楽しみたいみたいなこと言ってたよね?」
「え、それがどうした?」

基本的に俺といるときはよく喋る彼にしては珍しく、それっきり何も言わない。眉間にしわを寄せ言い淀む彼を急かすように、何? ともう一度訊くと、意を決したかのように口を開いた。

「それってさ、もちろんグループの活動のこととか、アイドル業、俳優業のこともあるだろうけど、それだけじゃないよね?」
「どういうこと」
「それってさ、キタミツのこともだよね」
「……は?」
「キタミツとも仲良くしたいんでしょ? 昔みたいにさ」
「何言って…」
「バレてるよそんなん。俺が分からないとでも思ってるの。太輔がミツのこと特別に思ってることくらい分かるよさすがに」
「え、いや、その、」
「俺だけじゃないよ、程度の差はあれメンバー全員気付いてると思うよ、太輔の気持ち分かってないのなんてミツくらいじゃない?」

そう言って渉は笑った。ぐい、と酒を飲み一息ついている。そんな彼を目の前にして、俺は何を話せば良いのだろうか。

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作者名:谷山 | 作成日時:2018年9月14日 1時

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