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正直に言おう。俺はあのチビが好きだった。うん、好き…だった。過去形だたぶん。過去形ってことにしておこう。
目をギラギラさせてカッコつけて、色気だだもれのパフォーマンスは観客を魅了した。まだ未熟だった俺たちメンバーをまとめ、立派なグループに仕立て上げた。コソ練の鬼と言われるくらい、他人の何倍も努力していた。そんなきたやまは、格好良かった。
それでいて、身長をいじられると毎度お決まりのように怒ったり、甘い言葉を言おうとすると恥ずかしくて照れちゃったり、そんなところはものすごく可愛かった。
格好良いと可愛いを両方兼ね備える彼に惹かれていくのに時間はかからなかった。あんなやつが自分のすぐ隣にいて、気にならないわけがないじゃないか。
気が付いたら、彼に恋をしていた。憧れと間違えているのかもしれないとも思ったが、彼を見るとどうしようもなく胸が痛んでしまうのだから、自分のこの気持ちを受け入れるほかなかった。
ただ、彼にとっては俺は「可愛い弟」なのだ。まさか俺のことを恋愛対象として見てくれるはずはないし、もちろん付き合うなんて到底不可能だ。自分たちの職業のこともある。
そう易々とあいつとの未来を描けるわけがなかった。
でもきたやまを見ると、好きの気持ちが増してしまう。あの色気と可愛さに目が釘付けになってしまう。
ならば、もう彼を視界に入れなければ良いのではないか。俺は、背中合わせの関係を選んだ。
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作者名:谷山 | 作成日時:2018年9月14日 1時