私はモブキャラのはずですが【改】(ツイステ夢) (ページ3)

今日:2 hit、昨日:13 hit、合計:1,424 hit

終わりと始まりページ3

「監督生…！
　やっぱり僕は、監督生が好きだ！」

　 [でも、私は異世界から来たんだよ…？]
　▶ [ダメだよ、いつかは元の世界に戻らないと…]

【ダメだよ、いつかは元の世界に戻らないと…】

「それでもいい！
　監督生が元の世界へ帰っても、
　絶対にまた会いに行く！
　どうか、返事を聞かせてくれないか…？」

　▶ [……私も好きだよ]
　 [……同じ気持ちだよ]

【……私も好きだよ】

「本当か！？
　嬉しい、ありがとう、僕は幸せ者だ…。
　絶対迎えに行く、それまで待っててくれ」

　▶ [うん、待ってる]
　 [そっちこそ、浮気なんてしないでよね]

【うん、待ってる】

どちらが言うわけでもなく、自然と重なる唇。

その瞬間、監督生の姿が光に包まれ、徐々に輪郭がぼやけて周りの風景へ溶け込んでいく。

完全に姿が消えたと同時に、残された方は膝をついて涙を流す。

………こんなに切ない光景を、何度見てきたことか。

私がいるこの世界は、いわゆる乙女ゲームの中の世界。

主人公がイケメンたちと学園生活を送り、最終的には結ばれる。

私はその主人公に恋が実るためのアドバイスをしたり、力を貸したりするキューピット役、つまりはモブキャラ。

これまで何度も主人公とキャラを結ばせ、ハッピーエンドへと導いてきた。

今もエンディングを迎えさせたばかりだ。

あー、今回は思ったより時間かかったな…

まさかシルバールートから急にデュースルートに変更するなんて

ま、結果オーライだったからいいけど

あの場に残されていたデュースが寮に戻ったのを見送り、自分もオンボロ寮へ帰る。

歩きながら、またすぐに始まるであろう“日常”のことを考えていた。

この世界は、プレイヤーがゲームをクリアすると自動的にオープニングに戻る。そして、新しいプレイヤーがログインすると時間が進むようになるのだ。

つまり、同じストーリーをループしている。

でも、このことに気づいているのは私だけ。他のキャラはエンディングを迎えるとそれまでの記憶がリセットされる。

だから彼らには自分がゲームのキャラだという認識もない。

このことについて最初は驚いたし、何となく不安もあったが、もう慣れてしまった。

最近は、新しい「監督生」がどんな選択をして、誰を選ぶのかも楽しみだったりする。

無事に寮へ帰ってきた私は寝支度を済ませ、ベッドの中へ潜る。

次に目が覚めたときには、思っていた通り、昨日とは全く違う光景が広がっていた。