少女 ページ4
頭が冷える。
周りは私達をチラッと見ただけで何事もなかったように通り過ぎる。
クスクス、、、、クスクス、、、、
リリーを見て誰かが笑ってる。
リリーを見て誰かが言っている。
リリーを哀れんでいる。
体がブルブルと震える。
目が大きく見開いたかと思うと、次の瞬間周りが悲鳴をあげた。
「キャー！？」
目の前にいるメアリーが恐怖で顔を強張らせている。それしか記憶になかった。
＊＊＊＊＊
気がついたらリリーは診療所のベッドで眠っていた
鼻をつんざく薬の独特の匂いがする。
起き上がろうとするとずきりと頭が痛かった。
サッと仕切りのカーテンが開く。
そこには今まで見たことのない少女がいた。
私と同い年、、いや年下くらいの子なのかな。
痛む頭を押さえてリリーはその少女をジッと見た。
「随分やらかしてくれたね、リリー・ワトソン。」
甲高い声で突き放すように少女は言った。
やらかす、、、、？リリーには記憶がなかった。
「その様子だと自分がしたことを覚えてないみたいね。教えてあげようか。」
皮肉に言う少女にリリーはついムッとして言い返した。
「あなたさっきから何変なこと言ってんの！初対面なのに丁寧な言葉で話さないで何様のつもり！」
言ってハッとする。何カッカしてんの？
まず何様のつもり、はなかった。
また変なこと言われる。
ゾッとした。
少女は相変わらず未表情だったがその眉間にシワが寄っているような気がしてビクビクしてしまう。
どうしよう、明日からまたメアリーに「有名人気取りの女王様。」って嫌味を言われるかも。
有名人気取りなんてしてないのに。
自分の気持ちに正直にってお姉ちゃんが言ったから誰かが嘘をついたら正直に話したのに、みんな私から遠ざかって、、、堂々としているだけで目立ちたがり屋って言われて、、、、。
私の何がいけなかったの！
「私に訴えかけられても困るね。」
私の視線から目をそらして少女は言った。
私、、、この少女に訴えかけるような目を向けてたの？？？なんてことを！
「ご、、、申し訳、、、。」
「何謝ってんの？別に悪いことじゃないじゃん。まず、なんでそんなにおどおどうじうじしているの？見ているだけで憎たらしい。堂々としろよ。」
堂々としろよ？私はそれが呪文のように聞こえた。
私は堂々としていたから、目立ちたがり屋って言われたんだよ？
なのに堂々って。
「何も知らないくせに！」
少女は見苦しそうに私を見た後口を開いた。
「全部知ってる。」
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作者名：ザン | 作成日時：2019年8月7日 0時
