余命一年【完】

12月 ページ9

僕の姉さんはもうすぐ死ぬ。




「メリークリスマス！！」





「メリクリ。」




「！？クリぼっちの可愛い息子が、反応した！」




「クリぼっちは姉さんもだろ。さっさと彼氏でも・・・・」




と言いかけて口をつぐむ。




「いやぁねぇ、私はもってもてだから相手を選べないのよ、ふふ。」




姉さんは察してわざと明るく振舞う。




「クリスマスケーキ、買って来たんだ〜！」




「今年はいい子だったからサンタさん来るかねぇ？」




「ツリーの飾りつけ手伝ってよ！！」




「あっれれ〜？どうしたの〜？なんで黙っているのさ〜〜？？」




飾りをじゃらじゃらさせながら姉さんは僕の顔を覗き込んだ。




姉さんは、なんで




もうすぐ死ぬっていうのに、そんな明るいんだよ。




バカなの？




「クリぼっちって言ったの気にしてる？なぁに、母さんがいるじゃない。」




「二人ぼっちだよ、ってぼっちじゃないかぁ〜」




けらけらと笑う姉さん。




来年のクリスマスには姉さんはもう、いない。




姉さんと過ごす一年は、もうすぐ終わる。




ーーーーー



「なんで急に婆さん家に行くって・・・」




「大晦日は家族で楽しく過ごしましょ！」




車を運転しながら笑う姉さん。




正直、乗り気ではなかった。




婆さんと爺さんは俺を歓迎してくれた。




涙まで流して。




家の中には親戚の子供や、叔父叔母、いとこが揃っていた。




叔父と叔母が僕を見ていることに気づき目をそらす。




姉さんが、僕を見ていることに気づかずに




「やっぱ、大晦日は紅白でしょ！！」




「いんや、ガキ使だねっ！」




姉さんと爺さんのチャンネル合戦が始まった。




「私の大好きな歌手が紅白に出るのっ！」




「儂は毎年、ガキ使なんや！」




婆さんが見かねて口を挟む。




「爺さんたち、人生ゲームで勝負したらどうや。」




「「のった！！」」




僕はジュースをちょびりながら、それを眺める。




気付いたら叔母が隣にいた。




僕の大嫌いな父さんの姉。




正直会いたくもなかった。




「私の愚弟が、二人に迷惑をかけてごめん。」




ぽつりと叔母は言った。




「・・・もし、二人に困ったことがあったらいつでも頼ってほしい。」




何を言っているんだ。




父さん同様、僕らを引き取らなかったくせに。




だから姉さんが




「葬式の日、あんたの姉さんに言われたの。」




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