検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:22,176 hit

6月 ページ3

僕の姉さんはもうすぐ死ぬ。




梅雨に入った。




僕は毎日イライラしているのに




僕の姉さんはそうでもないようだ。




昨日なんかアパートのベランダに空き缶を並べて




雨の音を聞いていた。




それが意外にもいい音色で僕も聞いてたら




振り向いた姉さんがあの勝ち誇った笑みを浮かべたのはとても癪だったけれど。









姉さんが帰ってこない。




何かあったのだろうかと、心配していたら




当の本人から電話が来た。




傘を忘れて帰れないようだ。




梅雨の季節だからいつ雨が降ってもおかしくないのに




あの、バカ姉さんは・・・!




僕が傘を持ってくると、




姉さんは笑顔で飛びついてきた。




「ほら、傘。」




傘を渡そうとすると、




「ん〜両手今塞がっちゃっててさ、代わりに差してくんない?」




笑顔で断られた。姉さんの両手にはスーパーの買い物袋。




・・・・・




今回はしょうがない。うん。しょうがないんだ。




僕は姉さんに雨が当たらないように気を付けながら




帰り道を歩いた。




「ふふふ、優しい息子と相合傘もたまには悪くないわね。」




「・・・僕はよくないけど、」




「えっ!?もしかして、優しい息子は好きな人がいるの?」




「ちげーよ!バカなの?」




姉さんはおかしそうに笑った。




もう、雨はやんでいたけれど、




傘をさしたまま帰った









姉さんが死ぬまであと10ヶ月

7月→←5月



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (76 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
17人がお気に入り
設定タグ:感動 , 姉弟   
作品ジャンル:泣ける話, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

獣嚶(プロフ) - もう…文才というか…何というか…情景がすぐ頭に浮かんで来るような、素敵な作品でした!あれ…?目から汗が… (2020年6月7日 17時) (レス) id: 258d7d697d (このIDを非表示/違反報告)
紗奈# - すごく心が動きました。弟とお姉さんの関係がすごくいきいきしていて、素敵です。素晴らしい作品をありがとうございました。別作品も読ませていただきます! (2020年6月7日 16時) (レス) id: 5b3e3a5457 (このIDを非表示/違反報告)
本の虫(プロフ) - 翡翠琥珀@サブさん» うわ〜!とても嬉しいです。。伝わってます、嬉しいくらい伝わってます!もう、キスしていいですか?(殴)すみません、ありがとうございます!!!! (2020年4月27日 10時) (レス) id: 0e28084fa3 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠琥珀@サブ - うわ〜、読み終わったあとの何とも言えない感じがやばい。めっちゃ感動しました。もう、なんか、あの…感動しました。(語彙力ぜろでごめんなさい笑)切ないよ〜ってなってます。はい。最高でした。 (2020年4月27日 2時) (レス) id: 387b2ce801 (このIDを非表示/違反報告)
本の虫(プロフ) - 蒼炎さん» 一番!?!?(!?!?)やった!!(笑)すみません、ありがとうございます!! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 0e28084fa3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:本の虫 | 作成日時:2020年3月10日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。