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トラジティー〈惨劇〉 ページ18

思えばこれは、神様にしてみれば予想通りの展開だったのかもしれない。

ドレスを翻した美しい少女はカツカツと音を響かせ、屋敷の中へ入る。
手には、仮面の男のサーベルと、拳銃。

陽気な鼻歌が階下にこだまし、歌が歌われる。
『…There was a crooked man♪
  And he walked a crooked mile
  He found a crooked sixpence
  Upon a crooked stile
  He bought a crooked cat
  Which caught a crooked mouse
  And they all lived together
  In a crooked little house!
背中の曲がったある男が
  くねった道を一里も歩き
  こわれかかった木戸のところで
  でこぼこになったコインを見つけた
  男がそのコインで猫を買うと
  その猫がネズミを捕まえてきた
  そして傾いた小さな家で
  みんなで仲良く暮らしましたとさ』

HAHAHAHAHA……

『…でぇておいでぇ〜クズ共ぉ〜お仕置きの時間だよぉぉ〜…散々楽しんだろぉ〜?あたしにも楽しませろよぉおお…★』

カラカラカラとサーベルを引きずり、拳銃をガタガタぶつからせる。

1階。
誰もいない。
2階。
誰もいない。
3階。
書斎。2人とも居たぁ。

『なぁに身を寄せあっちゃってんのぉ?』

A?が肩に易々とサーベルを担ぐのを見て恐怖に身を屈ませる父親。
その前には母親のフィオナが居た。

『キッショ!キッショいわぁ!おめぇらただのバカップルだろぉうがよ!』

ぺっと唾を吐くと、フィオナが震える腕を伸ばして、庇うように立ちはだかった。

『何それ…庇ってるつもりぃ?……』

「やめて…お…お願い…ねぇ…ごめんなさい…ごめ…だから…この人は…殺さないであぎぃっ」

ぶつ、と腕をぶっ刺した。

「え…いた…痛い…っ…血がっ…痛いいいい…なん…」

『なんでって…頭悪いのぉ?そりゃ刺されるでしょぉ…』

「っ!」
その瞬間、隙をついてか父親が引き出しに手をかけて何かを取り出そうとする。
ゴリ…
「ッ!!」
『a-han?これの事?』
拳銃をこめかみに突きつける。
「っ…っ……」
「Hmm…」
「ウッ!?ぐ…っ」
パァンと足を撃つ。
「きゃああ!」
切られた腕を押さえながらフィオナが父親に寄り添いに行く。
「やめ…やめて…Aちゃん…やめて……」
『…浮気なんてするからだぜ?なぁ、ママ』
冷酷無慈悲…あたかも養豚場の豚を見るような目つきで脇腹をつく。
「アゥッウッ…ううう痛いいい…」
ぐるんと父親の方を見る。
「っ…っぅ…」

フィアター〈観劇〉→←the end


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作者名:フェンタニル | 作成日時:2020年11月29日 16時

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