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『…ねぇ、まだ怒ってる?』
ラギーを送り届け、馬車には俺とAと親父の三人
Aはそう言って俺の顔を覗きこむと、横から親父が声をかけた
「気にするな、A
レオナが不満顔なのはいつものことだろう」
『ふふ、それがねパパ様
二人っきりになった時のレオナは優し… イタイイタイ!!!』
Aの鼻を摘まむと、その手を叩きながらAは俺を睨み付ける
『痛い!』
「うるせぇ」
そう言って鼻先を指で跳ねると、Aは小さく鳴いて鼻先を押さえながら悶えた
「…結局、俺は利用されてたってわけかよ」
胸の奥で燻る苛立ちに俺は吐き捨てるように呟く
王位継承権も下がった第二王子の価値などそのようなものだ
そうわかっていても、どこかしら弄ばれた気分に俺は二人に顔を背けるように窓に目をやった
「…"第二王子だから仕方ない"と思っているのか?」
『!』
「!!」
そんな俺の気持ちをまるで素手で掴むように言うと、親父は馬車の中でもよく聞こえる程の大きなため息をついた
「レオナ、お前は頭を使いすぎる」
「…は?」
「もっと肩の力を抜いてみろ
Aを見習って
立場や政治そんなものは放って、もっと簡単に受けとめてみよ」
「…」
『パパ様… 私も少しは色々考えてるからね?』
Aが複雑な面持ちで親父に話しかける中、俺は耳だけ親父の方に向けて話の続きを促した
「第一だろうが、第二だろうが
その前にお前はわしのかけがえのない息子
大切な家族だ」
ゆっくりと顔の向きを変えると、記憶にあるよりも年老いた親父と目があう
__…目を背けていたのは俺の方だったのか
鋭い眼孔に宿る強い光
しかし、それを包む目尻の皺が波打つように揺れると
国王ではない 一人の親として、親父は優しく微笑んできた
「レオナ、愛しているぞ」
そう親父が言うと、Aもまた嬉しそうにこちらを見て頷く
そんな二人に俺は鼻を鳴らして、再び外に視線を戻した
「……… あぁ、そうかよ」
素っ気ない返事に親父とAの嬉しそうに笑いあう
__あぁ、クソ…
「…メンドクセェ」
俺の中にあった重い塊が砂のように崩れ落ちていく
ポッカリと空いたその跡に
感じたことのないナニカが埋まり、俺を満たしていく
言いようもない感覚に
俺は口元を押さえながら呟くと、いつもより明るい空に目を細めた
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蒼空 - 千広さん» 千広さん、読んでいただいてありがとうございました!最後はドタバタ感が否めませんが、それでも終えられて良かったです!!これも見てくださった千広さんを含めた皆様のおかげです、こちらこそありがとうございました! (2020年7月26日 21時) (レス) id: defa0966a7 (このIDを非表示/違反報告)
千広 - 完結おめでとうございます。最後はどうなるのか…ハラハラ、ドキドキしながら楽しませていただきました。素敵な小説を、ありがとうございました。 (2020年7月26日 12時) (レス) id: 4a264cf803 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空 - 雫石_farfallaさん» 雫石_farfallaさん、コメントありがとうございます!勝手なイメージで作った義姉様でしたが、強かさを表現できて良かったです(笑) ここまで読んでいただいてありがとうございました! (2020年7月25日 17時) (レス) id: defa0966a7 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空 - るりさん» るりさん♪いっぱい感想いただけてすごく嬉しいです!!ここまで書き終えられたのもるりさんの応援があったからです♪るりさんの小説も毎日楽しみに見せて(見返して)もらってます♪次回作も頑張りますね!ここまで本当にありがとうございました! (2020年7月25日 17時) (レス) id: defa0966a7 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空 - iceblast5さん» iceblast5さん、こちらこそありがとうございます!レオナ様のカッコ良さを傷つけずにいられてホッと一安心しています(笑) ここまで読んでいただいて本当にありがとうございました! (2020年7月25日 17時) (レス) id: defa0966a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼空 | 作成日時:2020年6月13日 0時