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◇2◇ ページ2

『……』



豪華な馬車に揺られ
私は見慣れない風景を流れるように見つめる



「A、本当に良かったのか?」



向かいに座る国王様はそんな私を気遣うように声をかけると、私と同じように外の風景を見ながら呟いた



「昔、ファレナとレオナともこの国に来てね」


『…そうなんですか?』


「Aと会うよりもかなり前の話だ

長く馬車に揺れて機嫌を悪くしたレオナをファレナが必死になだめてたよ」


『フフ、何やってんだか』



国王様の話を容易に想像すると、その光景に吹き出すように笑う

ハッとして前を向くと、国王様は私に優しい笑みを浮かべていた



馬車の(この)中は私達だけだ

…昔のように"パパ様"って呼んでくれても良いぞ?」



久しく呼んでいない昔の呼び名に思わず微笑むと、私は持てる限りの感謝の気持ちを込めて懐かしい呼び名を口にした



『パパ様』


「ん、なんだい?」



そこまで言うと、私達は同時に吹き出し
可笑しそうに大声をあげて笑った




「…… A、」



目尻に溜まった涙を拭っていると、ふいに名前を呼ばれて顔を向ける

すると、先程よりももっと優しい
まるで本当の父親のような眼差しで国王様は私の顔を真っ直ぐに見つめて口を開いた




「私はお前を本当の娘のように思っている

だから…





この婚約が苦痛であるならば_

『国王様』




国王様の話を途中で折るように声をかけると、私は無言で首を振る




『私ね、

パパ様のお役にたてることが嬉しいんだよ?』





国王様は一瞬何とも言えない表情で固まると、無言のまま頭を下げるのだった

◇3◇→←◆1◆



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蒼空 - 千広さん» 千広さん、読んでいただいてありがとうございました!最後はドタバタ感が否めませんが、それでも終えられて良かったです!!これも見てくださった千広さんを含めた皆様のおかげです、こちらこそありがとうございました! (2020年7月26日 21時) (レス) id: defa0966a7 (このIDを非表示/違反報告)
千広 - 完結おめでとうございます。最後はどうなるのか…ハラハラ、ドキドキしながら楽しませていただきました。素敵な小説を、ありがとうございました。 (2020年7月26日 12時) (レス) id: 4a264cf803 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空 - 雫石_farfallaさん» 雫石_farfallaさん、コメントありがとうございます!勝手なイメージで作った義姉様でしたが、強かさを表現できて良かったです(笑) ここまで読んでいただいてありがとうございました! (2020年7月25日 17時) (レス) id: defa0966a7 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空 - るりさん» るりさん♪いっぱい感想いただけてすごく嬉しいです!!ここまで書き終えられたのもるりさんの応援があったからです♪るりさんの小説も毎日楽しみに見せて(見返して)もらってます♪次回作も頑張りますね!ここまで本当にありがとうございました! (2020年7月25日 17時) (レス) id: defa0966a7 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空 - iceblast5さん» iceblast5さん、こちらこそありがとうございます!レオナ様のカッコ良さを傷つけずにいられてホッと一安心しています(笑) ここまで読んでいただいて本当にありがとうございました! (2020年7月25日 17時) (レス) id: defa0966a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼空 | 作成日時:2020年6月13日 0時

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