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自室に入った沖田総悟は、机の上に乗せていた携帯電話を手に取る。そのままベッドへ背中から倒れ、天井の電気を隠すように携帯を顔の前にかざした。


そうして軽快な手つきとは裏腹に険しい表情でメールの受信ボックスを一つ一つ確認しながら見ていく。級友からのメールは素通りしていき、目的の差出人の名前を見つけては十字ボタンの真ん中を押した。



「変わりはないか」
「飯はちゃんと食ってんのか」
「Aと仲良くやってるか?」



それらを読み返しては直ぐに削除する。差出人には「土方十四郎」と書かれており、総悟はその名前を見つけては不快そうに眉をひそめた。そんな彼に追い討ちをかけるよう、今もまた似たようなメールが届く。



『返信するわけねーだろ』



吐き出すように呟いた彼は、削除するためにゴミ箱マークのボタンを指で押そうとした時、更に真新しいメールが届いた。


今までと変わらずたったの一行ではあるが、それは総悟の中に鐘の音のように重たく響く。ひゅっと喉が不穏な息を吸い、彼のアーモンド型の目は大きく見開かれた。



「三人で、暮らさないか」



もう一度、その文章を目で追った総悟はベッドの横へと携帯を放り投げる。そうして瞼の上に腕を乗せ、見える光全てを遮った。


悔しそうに歯を噛み締めては「うるせェ」と血反吐を吐いたような苦しい声を出す。そして「クソ」と拳を握りしめた彼は、声にならない叫び声を上げる。



『……俺は誰の手も借りないって決めてるんでィ』



彼らの姉は、一人で立派に彼ら二人を育てた。

だからこそ、今度は自分の番だと総悟は思っているのだ。彼の覚悟を踏みにじる土方の提案が許せず、更には自分の不甲斐なさも思い知らされてしまう。


だが、土方が自分のプライドを傷つけたくてそう提案しているわけではないことも知っている。自分たちのためを思ってくれていることも。


それが余計に、彼を毒針のように苦しめていた。



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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ハル(プロフ) - マキさん» わ〜( ; ; ) ありがとうございます!! そう思っていただけたのなら嬉しいです!! これからもよろしくお願いします! (2018年2月18日 14時) (レス) id: 25f689583f (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 面白いです(^^) (2018年2月18日 8時) (レス) id: 28245e4945 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ムーたんさん» ありがとうございます!続編、ぜひ見ていただけたら嬉しいです(^^)これからもよろしくお願いします (2016年6月8日 20時) (レス) id: 74bf78ff90 (このIDを非表示/違反報告)
ムーたん - 続篇、楽しみです!これからも頑張って下さい!! (2016年6月7日 17時) (レス) id: 5500c96e92 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ムーたんさん» ありがたいお言葉頂戴します(^^)これからもどうぞよろしくお願いたします! (2016年5月7日 20時) (レス) id: 74bf78ff90 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory  
作成日時:2016年4月26日 21時

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