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人間、時として嫌な予感は当たってしまうものだ。


神威が総悟に自身の妹の無様な姿が見たいと言って彼を応援席まで引きずった。総悟は仕方無しに神威の妹の面でも拝んでやろうという軽い気持ちで付いていったが、なんと神威の妹はAとよく行動している神楽であったのである。


神楽のことは名前は知らずともAの横で度々見かけるため、総悟も顔だけは知っていた。兄同士、妹同士共に行動しているとは、やはり兄妹かと思わず彼は感心してしまう。


そんな総悟を神威は「早く早く」と一番前の応援場所へと引っ張っていく。



『一年生の玉入れだって』



「小学生見たい」と馬鹿にしたようにクスクスと笑うも、案外楽しそうに見えたのか自分もやりたいと身を乗り出した。そんな神威に呆れた溜め息を吐く総悟は、神威の妹と神威を改めて見比べる。



『……お前、妹とあんまり似てねェな』

『ソウゴだってそうでしょ』



確かに沖田兄妹の彼らは髪や瞳の色彩は似ていた。しかし性格は真逆と言って良いほど似ていない。総悟は神威の妹の性格は知らないが、きっと神威とは性格が異なるのだろうと納得する。


そうして軽快な音楽とスターターピストルの破裂音と共に始まる玉入れ。紙雷管は風に吹かれて塵埃に紛れ込む。


しかしその刹那、A身体がグラリと崩れ落ちた。彼女の周りの生徒、観客がざわつき始め、騒ぎを聞いた他の人々も前のめりに彼女の様子を見る。


総悟は長くも短くも思える間、横たわるAの苦しそうな表情を目に写していた。


神楽はすぐさまAの元へ駆け寄り、大きな声で名前を呼ぶ。しかしその声に返事はなく、不安そうな生徒の顔と囁きが音楽の中に紛れた。



『ソウゴ、あれって君の……ソウゴ?』



自分にかけられる神威の声は総悟の右耳から左へと流れていく。彼は目の前の光景が、幻影なのではないかと疑い始める。


しかし聞こえる周囲の人々の話し声も、匂いも、湿る手の汗も全て現実で、彼の喉は流れる汗に反してカラカラに干からびていった。




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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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ハル(プロフ) - マキさん» わ〜( ; ; ) ありがとうございます!! そう思っていただけたのなら嬉しいです!! これからもよろしくお願いします! (2018年2月18日 14時) (レス) id: 25f689583f (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 面白いです(^^) (2018年2月18日 8時) (レス) id: 28245e4945 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ムーたんさん» ありがとうございます!続編、ぜひ見ていただけたら嬉しいです(^^)これからもよろしくお願いします (2016年6月8日 20時) (レス) id: 74bf78ff90 (このIDを非表示/違反報告)
ムーたん - 続篇、楽しみです!これからも頑張って下さい!! (2016年6月7日 17時) (レス) id: 5500c96e92 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ムーたんさん» ありがたいお言葉頂戴します(^^)これからもどうぞよろしくお願いたします! (2016年5月7日 20時) (レス) id: 74bf78ff90 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory  
作成日時:2016年4月26日 21時

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