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『……お前だろ? 沖田の妹って』



昼間の暑さをまだ引きずっている夕方の放課後。太陽は西に傾いてはいるものの、まだ空は焼ける橙色ではなく青が優っている。


その空の下、「体育祭がもうすぐだなぁ」としみじみ考えながらAは校門を出ようとしたが、数人の男に中庭まで連れてこられてしまった。

ネクタイの色からして彼らが三年生だということが彼女には分かり、それが兄である総悟と同学年だということに繋がる。



『そうですけど……』



彼らの内の一人から聞かれた先程の質問にAが小さく頷けば、彼らはこぞって顔を見合わせた。何かを企んでいる空気が彼女の肌に舐めるように触れ、怖くなったA」は数歩足を引きずるように後ろへ下がる。



『俺らさ、お前の兄貴嫌いなわけ』
『イケメンでー、頭のデキも良いなんて神様は不公平だよな』



「なァ?」と同意を求めるよう彼女の顔を覗きこんだ。距離を置いても近づいてくる恐怖に、Aの背中には冷や汗が伝う。喉もカラカラに渇き、生唾を飲んで潤そうにも息が苦しくなる。



『で、あの性格と俺らを小馬鹿にした態度。それがムカつくっての』



そう言った男は近くのゴミ箱を蹴飛ばし、そこから缶や紙屑などのゴミがあたりに散らばった。彼らが怒りの感情を抱いていることは明確であるため、余計にAを怖がらせる。


彼女はそれほど彼らと総悟の間に何かあったのだろうかと考えるも、自分の兄が彼らを挑発させるような行動を取ることに疑問を感じた。




『どうして、私を……?』



だが、彼らと総悟の間にいざこざがあったとしてもAには全くと言っていいほど関係無い。それなのに何故こんな所に連れてこられたのだろうという疑問も、同時に彼女の頭の中に浮かんだ。


しかし彼らはそんな彼女の質問を馬鹿にするようにケタケタと下劣な笑みを見せる。



『お前の方から言っとけ。その態度、やめろって』
『ちょっと傷作ってそれ見せれば、お前の兄貴だってビビるだろ』


『やめて、下さい……』



これから自分に襲ってくる暴力にAは足がすくんだ。近付いてくる彼らと裏腹に彼女は後退していくが、背中に冷たく硬い感触が触れた。恐る恐る確認するとそれは紛れもなく壁であり、彼女は彼らに囲まれてしまう。


まさに袋の鼠とはこのことなのだろうか、とどうでもいいことが思いついてしまい、完全に思考までもが恐怖に奪われていた。




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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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ハル(プロフ) - マキさん» わ〜( ; ; ) ありがとうございます!! そう思っていただけたのなら嬉しいです!! これからもよろしくお願いします! (2018年2月18日 14時) (レス) id: 25f689583f (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 面白いです(^^) (2018年2月18日 8時) (レス) id: 28245e4945 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ムーたんさん» ありがとうございます!続編、ぜひ見ていただけたら嬉しいです(^^)これからもよろしくお願いします (2016年6月8日 20時) (レス) id: 74bf78ff90 (このIDを非表示/違反報告)
ムーたん - 続篇、楽しみです!これからも頑張って下さい!! (2016年6月7日 17時) (レス) id: 5500c96e92 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ムーたんさん» ありがたいお言葉頂戴します(^^)これからもどうぞよろしくお願いたします! (2016年5月7日 20時) (レス) id: 74bf78ff90 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory  
作成日時:2016年4月26日 21時

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