彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第四章】 (ページ6)

今日:24 hit、昨日:2 hit、合計:13,287 hit

152話ページ6

「……何それ。どういうつもり」

「綾が行く気なくて恭弥兄さんが行かないなら、チケットがもったいないじゃない。

俺もちょうど暇だし、付き添いしても問題はないよ」

ねえ、と綾にふると、彼女は遥弥の言葉を『挑発』だと理解しているのか、元気に「うんっ」と頷く。

更に灼熱の殺気が雲雀から発される。最早、爆ぜて火が出そうだと遥弥は思った。

「助かります。1人は流石に寂しいので」

「うん。じゃあ今から用意するから、ちょっと、」

待ってて。

遥弥がそう言う前に、彼に向かって鈍色の何かが投擲された。

びゅ！と風を切って飛んでくるそれを紙一重で避けると、次の瞬間、それはドゴォ！！と凄まじい音をたてて漆喰の壁に突き刺さっていた。

……言わずもがな、雲雀の投擲したトンファーである。

ひょええ、と大して『ひょええ』と思っていないような顔の綾が声を上げる。わざとらしい。

「いきなり、何？恭弥兄さん、何を怒ってるわけ」

「……が行く」

「はあ、何？聞こえないよ」

「僕が行くって言ってるの。君はここで留守番でもしてなよ」

それを聞いた綾と遥弥が、にまあと笑った。

「「どうぞどうぞ」」

「ちょ、綾、遥弥さんっっ！？」

その『やってやったぜ』というか『言質を取ったぜ』という表情に、真っ青になるユキ。

……完全に彼らの掌の上だったということか。

雲雀も乗せられたことを理解したのか、むっと眉を寄せたが、それ以上は何も言わなかった、

「よかったよ、恭弥兄さんが行ってくれて。俺も家でやることがあるしね。

……何しろ俺は来年受験生なわけだし」

「学年トップがいったい何を言ってるんですか！？」

「トップにはトップのたゆまぬ努力というものがあってね、ユキ」

「どの口がそれを言うんですか！？」

必死でつっこむユキに、綾が「まあまあ」と言いながらぽん、と彼女の肩に手を置いた。

にっこり笑顔ではあるのだが、その笑顔が凶悪じみているのが問題だ、とユキは思った。

「諦めて、“デート”してきてねっ？」