彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第四章】 (ページ50)

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196話ページ50

「ふぅん……ユキ。たまには綾に付き合ってあげたら？ホラー映画なんてただの作り物でしょ？

それに聞いたよ。今日の夜、沢田たちは肝試しするそうみたいだね。本物の墓地(それ)に比べればマシじゃないかい？」

「いや、そういう問題では」

「それに苦手克服なんて、なかなかいいチャンスだと思うけどね」

「遥弥兄さんいいこと言うじゃん！」

綾が手を叩くが、今回のユキは手強い。

うー、と低く唸ると、意固地に「嫌です」と首を振る。

「じゃーユキ！遥弥兄さんも一緒ならどう！？

それにもう少ししたら兄さんも帰ってくるし！途中から兄さんにも参加してもらおうよ！！

そしたらホラー映画より怖い存在がいるからホラー克服できるかも！！」

「君もなかなか酷いね」

呆れたように呟いた遥弥が、ため息をつく。

1度ツッコんでみた彼ではあるが、視聴会に参加する気はさらさら無いらしく、とっとと踵を返そうとする。

……が綾はそれを目敏く見つけた。

「何行こうとしてるのさ！！遥弥兄さんも一緒に見るんだよ、ほらっ！」

「だからなんでいつも俺を巻き込もうとするわけ？休日くらいゆっくり読し、

……じゃなくて勉強させてよ」

「今完全に読書って言おうとしましたよね」

「しかも今回の期末なんてオール満点だったじゃん。どこを勉強するっていうの？」

「それはもう化け物の域ですね」

「……獄寺と綾だって同じような点数でしょ。俺が変なわけじゃないよ」

「「変だよ(です)」」

声を揃えた二人に、むっ、と押し黙る遥弥。

そんな彼に綾は追い討ちをかけようと試みる。

「それとも何？遥弥兄さんも、ホラー苦手なの？」

ニヤニヤ笑いながら問うてみる。それはあわよくばからかってやろうという魂胆だったのだが、遥弥は冷めた目で彼女を見返すだけだった。

「……君さ。俺がここで『ホラー苦手だ』って言ったら困らないわけ。だって“この顔”だよ？」

「あ、う」

「それに俺は自分の目的の為なら、平気で『ホラー苦手だ』って嘘くらいつくけど？」

「ううう……」

綾の肩に、安堵したような表情のユキが手を置く。

「そういうことなので。私は帰ります」

「あ、でも見ないとは一言も言ってないけど」

その言葉に。

今までの会話を思い出していたユキは、唸りながら頭を抱えた。