彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第四章】 (ページ44)

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190話ページ44

「……ねえ綾」

「なんだい遥弥兄さん」

「なんで俺が風紀委員としてショバ代回収なんてしなくちゃいけないのかな」

「それは私のサボり対策、って痛い痛いいたーい！！耳引っ張んないで！？」

ぎりぎりぎりぎり、と耳を掴まれて手足をばたつかせる綾を冷たくにらむのは、

手に回収したばかりの金……五万円を持っている遥弥だ。

彼の腕には金色の糸で刺繍された『風紀』の二文字が燦然と輝く、臙脂色の腕章がある。

「自覚してるなら直したら？君の信頼が薄いせいで俺が出動しなくちゃいけなくなったんだけど」

「やだなあ遥弥兄さんってば、そんなこと言いながらちゃんと対価は要求してあるんでしょ？」

「要求はしたけど返ってくるかどうかは怪しいものだよ。これで彼への貸しが二つになったわけだけど、利子は当然高くつく。

彼が返さなかった場合、皺寄せは全部君に行くから。理解しておいてね、連帯保証人」

「なんか不穏な呼び名で呼ばれた！？」

そんなこんなでくだらない小競り合いをしながら、屋台からどんどん金を回収、もとい巻き上げていく。

さながらカツアゲのようだが、風紀委員は不良の集まりなので、正直間違ってはいない。

「あれ、あのチョコバナナの屋台にのいるのって、山本君と獄寺君じゃない？

ってことは弟君もいるのかな。ユキは兄さんと一緒にいるからいないけど。

おーい！」

「ちょっと、綾。仕事中でしょ」

「少しくらい大丈夫でしょ！！」

注意にまったく耳を傾けず、軽快な足取りで屋台に向かっていく綾に深くため息をつく遥弥。

彼女の自由人っぷりには手を焼かされるが、もう慣れた。姉や父に比べればましだ。

「綾さん！それに遥弥さんも！」

「なっ、てめーら！！何しにきやがった！！」

「やっほー。なんか姿が見えたから覗きに来ただけだよ！！

にしてもおいしそーだね、チョコバナナ。遥弥兄さん一本おごってよ」

「自分で買いな」

「ケチ！！」

ぶー、と頬を膨らませながら財布を取り出す綾を横目に、「屋台なんてやってたんだ」と聞く。

リボーンの言いつけで、と答える10代目は困ったような顔をしているが、納得はしているようだ。

「まあ、いいけど。そろそろここに風紀委員が来るから、気をつけなよ」

「え？なんで……来るのはショバ代回収の人なんじゃ？」