彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第四章】 (ページ20)

今日:25 hit、昨日:2 hit、合計:13,288 hit

166話ページ20

「ヒバリさん！」

『トライデント・モスキート』を食らったからか、ふらふらと歩き出した雲雀が、鋭い視線のままこちらを振り向く。

眼光は鋭く、負けたことはやはり悔しそうだ。

「約束は約束だ。せいぜい桜を楽しむがいいさ」

「……これで花見できんな！」

「10代目の手柄っスよ！ぜってーシャマルじゃねえ！！」

(いや、シャマルでしょ……)

口に出すと面倒なことになりそうだったので言いはしないが、遥弥は心の中でつっこむ。

向こうの桜の木の下では「おいしーっ！さすが奈々さん！」という騒がしい声が聞こえてきている。頭が痛い。

……なんでもいいけど、とっとと帰って本を読もう。

そう思って、遥弥は一応作ったので、と和菓子を皆の分のレジャーシートを引いている奈々に渡しておく。

桜の木の下で、早速彼女の料理を食べ始めている綾は目に入らない、ということにしておいた。

「あら、まあ。ありがとう。遥弥くん、お久しぶりね。

勉強もたまに見てくれているみたいで…お世話になっています。これからもよろしくね」

「……いえ、恐縮です。こちらもいつも楽しませていただいてますので」

そう答えると、揃ってユキとツナと綾が微妙な表情になる。

「遥弥さん、敬語使えたんですね……」

「俺も…ちょっとびっくりしたかも……」

「……なんか、兄さんと同じ顔の人が敬語使ってるって、すごく違和感なんだけど」

「……君たち、恭弥兄さんのことなんだと思ってるの……」

……とは言うが、遥弥自身も父親が敬語を使っているところを見たことがない。

ボスである10代目へはもとより、存命だった頃の9代目へも敬語を使っていなかったらしいようだし。

「……それじゃ、俺はそろそろ帰るから」

「はい、綾のことはよく叱っておきますから」

「ユキぃ！？」

「うん、頼むよ。反省してないようだったらおやつ抜き期間を伸ばすからね、食いしん坊将軍」

「んなっ！？遥弥兄さん！！？」

待ってぇ！！と悲痛な叫びを上げる綾を置いたまま、遥弥はすたすたと家へ帰っていった。