彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第四章】 (ページ15)

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161話ですページ15

疲れた。

帰りのバスに乗り込んだ私はポツリと内心呟いた。
綾達が去ってからというもの、私と恭弥さんは倒したライオンを飼育員に引き渡し再び動物を見て回った。

誰もいなくなった動物園はとても静かで恭弥さんもご機嫌だった。といっても肝心の動物達はみな、恭弥さんに怯えて寝る場所へと帰ってしまいほぼもぬけの殻の状態だったのだが……彼は気にしていなかった。

それほどライオンと戦えたのが嬉しかったのだろうか。こっちは襲われてとても肝が冷えたというのに。

まあ彼が喜んでくれただけ良しとしよう。

そういえば恭弥さんのことばっかでツナの相棒ペット探しをしていなかった気がする。

ツナ達は結局何の動物を選んだのだろうか……

ぼんやりと無人の車内から見える外を眺めながらふと考える。

無人、といっても隣の車両には沢山の人が乗っている。
恭弥さんがこの電車に乗った瞬間に他の人達は青ざめてお隣の車両へ移ってしまったのだ。

ここでも彼の力が発揮されるのか……知らなかった。もうさすがとしか言えない。

ふと隣を見ると恭弥さんがすやすやと寝息を立てていた。……いつのまに寝入ったのだろうか。気付かなかった。

まったく。よくもまあこんな無防備で寝れるものだ。もし私が貴方に危害を与えようとする輩だったらどうするつもりだったのだろうか。与えないけど。

ガタンと何かの段差により車内から揺れると恭弥さんの頭が私の肩に乗った。ほのかに鼻をくすぐるは柔軟剤と恭弥さん自身の香り。

なんか最近、恭弥さんの香りを嗅ぐと落ち着く気がしてならない。アレか。彼が強いからだろう。

そう自分自身を納得させ小さく息を吐くとふと手に温もりを感じた。視線を落とすと私の手の上に恭弥さんの手が乗っている。

さっきの揺れで膝の上にあった手が落ちたのだろうか。

まああまり気にしてないので手については放置することにする。隣から感じる温もりに私は静かに目を閉じた。

そういえばこうして恭弥さんと2人きりで過ごすのは初めてかもしれない。いつも綾がいたから。

……たまにはいいかもしれません。こうして彼と共に過ごすのも。

なんて私らしくないことを思ったのを最後にプツリと意識が途絶えた。