彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第四章】 (ページ14)

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160話ページ14

「……で。君たちはなんでここに来てるわけ？

……綾はここに来る気はなかったし、遥弥、君は来年受験生としてやる事があったんじゃなかったのかい？」

高温灼熱の怒気が雲雀から発されて、綾が「うひっ」と喉に引っかかったような悲鳴を漏らす。

そのあからさまな態度に軽い膝蹴りを背中に入れてから、遥弥は伝家の宝刀『リボーンのせい』を繰り出す。

「……赤ん坊の？」

「そう。恭弥兄さんたちが出かけていったあと、リボーンから頼みがあるって言われてね。

なんか、ユキの弟のペット候補を決めたいから、動物園で探して来いって。

なんだったら、リボーン本人に確かめてみてもいいけど？」

ねえ、と『余計なことを言うな』という意志を視線に込めて綾を見ると、彼女はガクガクと頷く。

遥弥は他人事に、顎が外れそうだな、と思った。

「……ふぅん。なら仕方ないね。咬み殺すのはなしにしてあげるよ」

「……恭弥さんは本当にリボーン先生に甘いですね」

ぼそりと呟くユキは呆れ気味だ。

それは、遥弥の世界でも“そう”なので仕方ない。

雲雀は……父は、10代目の言うことよりリボーンの言うことの方が素直に聞くのだ。

「まあ、でも、綾のおかげでユキは助かったわけだし。結果オーライでしょ」

「……はあ？僕があのライオンに負けるとでも言いたいわけ？」

「……強さの問題じゃなくて、不注意の問題だよ。

どこの自信銀行に自信を預金してるのかは知らないけど、もうちょっと、そのプライド、どっかに捨ててきた方がいいと思うけどね」

己を律するのに、余計な自尊心は邪魔だ。

《園内の皆様にお知らせします。脱走したライオンは、無事保護されました。ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます》

園内に響く放送を聞いて、ユキがほっと息をつくのがわかった。

綾はライオンのせいでユキと雲雀のデートがかなり台無しにされたことを憤慨していたようだったが、

これからまたデートを楽しんでもらえればいいでしょ、と綾を引っ張っていく。

「じゃ、ユキ。またね」

「ちょ、綾、遥弥さんっ！？」

面食らうユキの叫びを聞き流しながら、遥弥は『そう言えば、10代目の匣兵器はライオンだったな』と思い出していた。