彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第四章】 (ページ11)

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157話ですページ11

ふと恭弥さんの方を見るとお気に入りのおもちゃを見つけた子供のような笑みを浮かべていた。

なんだろう。とてつもなく嫌な予感がする。

「あ、あの恭弥さん？」

「なんだい」

「放送…聞いてましたよね？」

「そうだね」

「……逃げなくて大丈夫、ですか？」

すると恭弥さんは少し首を傾げた。その表情はとても不思議そうだ。

「何から逃げるっていうの？」

「え、な、何って……ライオンから……」

「なんで？折角ライオンが檻から脱走してくれたというのに逃げなくちゃいけないの？」

折角の使い方、間違ってないだろうか。

あたかも当然かのごとく言う恭弥さんに私は�茲がひきつらせた。

「行くよ、ユキ。ライオンを野放しになんて出来ないからね」

……何故だろう。彼の瞳が今にも獲物を狩らんとする肉食獣に似ているような気がする。

つか私も行くのか。私は今すぐでも尻尾を巻いて逃げたいというのに。

いつの間にか手を繋いでいる私は逃げるなんてできるはずもなく恭弥さんに手を引かれた。

＊＊＊

数分ぐらいライオン探しに園内を歩き回っていると前からメスライオンを率いたオスライオンが堂々とした足取りで歩いてきた。

なんつー偶然。私はその場で頭を抱えてしまったのは仕方がないと思う。

「……恭弥さん、くれぐれも殺さないで下さいね」

「もちろんわかってる。けれど少しぐらい楽しめるといいな」

なんて笑う恭弥さんはどこか好戦的で、こうなったら誰にも止められないなと私は呆れ半分に思った。

手をパッと離す恭弥さんは「ユキ、少し離れて」とトンファーを構える。

「近くにいたら怪我しちゃうかもしれないからね」

「は、はい……」

恭弥さんはダッと駆け出した。そこから始まるのは恭弥さんによるボコ殴りタイム。

メスライオンが2匹同時に襲いかかるが紙一重で避けられ一匹とメスライオンにトンファーを叩き込まれる。もう一匹のメスライオンはトンファーを避けるが彼の足技をくらって伸した。

そういえば彼と戦っているのはメスライオンばかりでオスライオンの姿がない。彼もそのことに気付いたようだ、キョロキョロと辺りを見回した後、私の方に目が止まった。

そしてそのすぐ後に目を見開く。何をそんなに驚いているのだろうか。

いや、違う。彼は私の方を見ているのではない。正確には私の後ろ……恐る恐る振り返ればオスライオンが私に大口を開けて襲いかかってきた。ひゅっと息を詰まらせる私は反射的に目を閉じた。