彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第十八章】 (ページ23)

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けれど。だからといって私の朝食を食べるだろうか。

朝起きたばかりだからか、それともお腹が空いているせいか…綾並みに食い意地を張ってる自分に思わず苦笑する。

まあ……貰えるものは貰っておこうと思い差し出されたサンドイッチに手を伸ばす。

「ジュリー！！」

いや正確には伸ばそうとした。だが隣の部屋から聞こえた怒鳴り声にピタッと手が止まる。

聞き覚えのある声だ。確か、そう……鈴木先輩だ。何故鈴木先輩が隣の部屋に……？

……待てよ。そう言えば彼女はジュリーと呼んだ気がする。ジュリーって加藤さんのことだ。もしかして……

「隣の部屋にクロームさんがいる……？」

ポツリと呟くと目の前の男があーぁと言いたげに肩を竦めた。

「あの女。沢田雪緒が起きたことに気付いてないであるな。まったく……これだから餓鬼は嫌いだ」

「……ってことは本当にクロームさんがいるのですね！！」

よかった……もっと離れた場所にいると思っていたのでそれはいいことを聞いた。もしかすると彼女を連れて脱出できるかも知れない。

「逃げられるかもしれない……と思っているなら大間違いよ」

ハッ、として目の前にいる男に目を向ければ笑っていた。そういえばこの男が見張っていること忘れていた。

「お前は逃げられない。なんせオレが見張っているのだから」

「……余裕綽々って顔ですね」

「当たり前ある。素人相手に遅れはとらんよ。大人しくボンゴレ共が来るまで待つといい」

ふん。と鼻で笑われ私はただただ睨みつけるしかなかった。
……だけど男の言う通りだ。拳銃の使い方を習い始めたばかりの私は素人同然。チャイニーズマフィアの幹部でもある目の前の男を倒せるほど力はない。

「……」

自分が非力だと言うことはわかっていた。わかっていたからこそ、私は強くなりたいと思った。……なのに。

ここにきてまさか足を引っ張ることになるなんて……

「……後悔したあるか？人質としてここにきたことを」

その質問に私は違うと答えた。何せあの時の古里さんの目は本気だった。本気で彼らを殺そうとしていた。

だから私自身が人質となることで彼らが助かるなら…

とここまで考えたところできゅるると腹の虫が鳴った。カっと頬を赤らめる私に男は何も言わずにサンドイッチを一瞥する。

食えと言わんばかりにあからさまなチラ見に私はバツの悪そうな顔をしつつも何も言わずにサンドイッチに手を伸ばしたのだった。