866話 ページ20
何故来たのかと問われた彼らは、端的に『ジョットとコザァートの約束を果たすため』と告げた。
約定により争いはあり得ない。ゆえに争いが生まれたときは……敗者側は牢獄入りにされるそうだ。
『賽は投げられた。ジョットとコザァートの子孫たちよ、戦うのだ』
『我々は戦いを審判する者ではない。掟を執行し、罰を与える者。敗者の現れるその時を待つ』
『戦いで賭けるべきは誇り。敗者とは、誇りを砕かれた者だ』
そう言葉を残して消えて行った復讐者たち。
夜の炎の残滓までもが消えるのを見届けると、遥弥は顎に手を当てる。
(……まだ、チャイニーズマフィアは来てないか。
攻撃を仕掛けてくるには、この無人島ではいい機会だから、必ず現れるはずだけど)
焦りは禁物、まずは10代目ファミリーの戦いを見届けるべきだろう。
アーデルハイトから『誇りをかけたサシの勝負』を提案されるのを聞きつつ、遥弥はそう考える。
「あと六日で僕たちは完全に覚醒する。急いだ方がいいよ」
「あ〜、それと、かわいいクロームちゃんとユキちゃんはまかせといて。
身も心も、オレちんのものになっちゃうから♪」
「それは困るね。うちの雲と霧が大暴れしそうだよ」
遥弥は肩をすくめながら、トンファーを強く握りこむ。
クロームはともかくユキがさらわれた責任は自分にある。なんとしてでも彼女たちは助けなくてはならない。
……それにしても。
(妙だ。少なくとも彼らは俺の情報を少しは掴んでいるはず。
……戦力になるのはわかっているはずなのに、わざわざ俺をここに招き入れたってことは……何か罠があるのかもね)
焦りは禁物だが悠長に構えている余裕はない。
何しろ、相手は初代守護者だけでなく……未来のマフィアも、なのだから。
***
かれこれ五時間も歩くと、やっと広い場所へとたどり着いた。
とたん吹き付けてくるのは、刃のように鋭い葉が飛んでくる木枯らし。それらをトンファーで全て叩き落とすと、遥弥は顔を上げた。
そして、その向こうに人影。……あのシルエットは。
「青葉紅葉!!」
叫んだのは了平だった。
3Aでもいがみあい、沢田家では協力し合ったらしいが、今の彼らはおそらくそのころの面影すらあるまい。
さらに紅葉は、一気にかかってこいと挑発するが。
「正々堂々サシで勝負! それがボクサーとしてのオレの誇りだ!!」
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作者名:夜野兎×さにー☆彡 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年10月1日 7時