830話 ページ14
＊＊＊
『役立たず』
「……チッ」
事情を説明して早々そう切って捨てられたのだが、言い返すことはできなかった。そのため遥弥は舌打ちをした。
……あまり変わらない気もするが。
電話口の向こうに居るのは恭香だ。どうやら今まで病院にいたらしく、かけた瞬間に『ＴＰＯを弁えなさい』と言われた。その場にいないのにわかるはずあるか。
『まあいいわ、ユキのことはお父様たちがなんとかするでしょうし』
「問題は母さんの方だよ。いきなりリルが消えた、何かあるとしか思えないでしょ」
『それを考えるのが次期参謀のあなたの仕事でしょう。怠慢は縊り殺すわよ』
「……使えないな」
『なんですって？』
不機嫌そうに跳ね上がるトーンに、遥弥も不機嫌に鼻を鳴らした。
「それで、姉さんはなんで病院にいるわけ」
『この時、山本さんの容態を治したのは白蘭だと聞いているわ。会っておいて損はないでしょ』
「へえ、珍しいね。君が男と会おうとするなんて」
『嫌な言い方はやめて頂戴』
とはいえ、白蘭とのコンタクトは有意義だろう。彼の能力は情報を得るのに勝手がいい。
ユキやクロームのことは確かに10代目ファミリーに任せても平気だろう。
だがチャイニーズマフィアは別だ。遥弥は強いが炎が弱い……匣、リングなしでは彼らに立ち向かえない。
ティナが応援に来ているとはいえ、シモンのアジトに彼らがいたら蒼白ものだ。
シモンを相手しなくてはならない10代目ファミリーに余裕などあるはずがなく、
その時に敵に来られて彼らを……特に戦闘のできないユキを人質にでもされたら動きにくくてかなわない。
「とにかく、情報は知らせたよ。動きがあったら連絡して」
『気が向いたらね』
ぶつん、と切れた通話にいらつきながらも、遥弥は携帯端末をポケットにしまった。
……Ｄ・スペードと敵が繋がっている可能性がある。
残り三人の幹部と会長の寧孫が二手にわかれ、未来とこの時代でそれぞれ動けば、
リルなしでシモンとチャイニーズマフィアに挟まれるなんていう最悪の状況を作って、ボンゴレを混乱させることが可能だろう。
遥弥や恭香の、たとえパラレルワールドであっても、10代目ファミリーを見捨てられないという感情を利用している手だ。気に食わない。
もう一度舌打ちをすると、不意に声をかけられた。
「遥弥君、シモンアジトの目星がついた。いちど会議室に来てくれ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 24人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜野兎×さにー☆彡
x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時：2018年10月1日 7時
