824話 ページ8
……まさか、リルが。何があったのかと今思案することに意味は無い。
ただ確かなのは、雲雀や遥弥、10代目がいてもユキを守れなかったということ。しかも彼女には、怖いだろうに自ら向こうに行かせてしまった。
「遥弥……お前。手、血が滲んでるぞ」
「俺のことはどうでもいいよ、リボーン。……9代目、すぐに手を打つべきです、今は彼らの手に次期ボスの姉がいる。何かあったらじゃ遅い」
「わかっているよ……だがこれ以上無駄な犠牲者は出せない」
苦悩を声に滲ませた9代目に、スクアーロが眉をつり上げて反駁するが、確かにその通りだ。
遥弥も強いが、強化されたシモンリングに対して、準備もせずに相対するのは無理だ。そもそも彼の総炎量は守護者たちよりも少ない。
おまけに今は手元にリルがいない。
「ならボンゴレリングを強化すべきです。初代シモンの血が『罪』なら、ボンゴレの血は他にもあるはずだ、」
『……その通りだよ!』
場違いなほどに、明るく幼げな声。
恐ろしく聞き覚えのある声に振り向くと、そこには見慣れた白金色の髪をした少女がいた。
彼女が伴っているのは、古いローブを羽織った老人。
「ティナちゃん……!」
「なんだこの少女は!? どこから来た!!」
瞠目する9代目守護者たちのあいだをすり抜けて、少女……フィオレンティーナはにこりと微笑む。
『やっほうツナ君! なんか非常事態みたいだったから、来ちゃった。タルボさんも連れてね』
「タルボ……?」
「ふぉっほ……羊の世話をしとったら、この子供に連れてこられてのう。ボンゴレリングが破壊されたと聞いたが」
いきなりの事態といきなりの登場に目を白黒させていた10代目が、遥弥に視線を向けてくる。
こっちを見られても、ティナの登場など遥弥だって想定していなかったことだ。
彼女がこちらに来た理由として考えられるのは、遥弥にリルが消えた説明をしにきたか、シモン事件の黒幕とされているD・スペードを見に来たか、だが。
「綱吉君、この子は知り合いかね?」
「あ、はい。えーと、遥弥さんの師匠です……よね?」
「認めたくないけどね。……まあ、敵ではないよ、少なくとも」
タルボを連れてきたのは恐らくただのついでだろう。
未来に強制帰還させられた彼女がまたここに来るということは、よほどの事態が『向こう』で起きたのだ。
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作者名:夜野兎×さにー☆彡 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年10月1日 7時