彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第十七章】

788話 ページ21

……なんてことを思ってるんだろうな、と遥弥は手元の資料を握り潰した。


恐らく綾は要領がいいんだろうと思う。

無意識的にだが、性情が真面目で仕事漏れが嫌いな遥弥を利用して、自分のやるべき事(これも雲雀の理不尽だが)をさせる。

……いや、結局雲雀と遥弥2人からのお仕置きが待っているわけだから、要領がいいわけではないのか。


ともあれ、彼が今彼女の分に仕事を雲雀に押し付けられていて、腹立たしいのは事実な訳で。


「何イライラしてるの君」

「なんでイライラしてるんだと思う？」

「そんなに苛立つなら綾を連れてくればいいんじゃないかい」

「わかってるなら俺を呼び出すのをやめればいいと思うんだけどね」


今月の委員会費案の練り直し、それから生徒委員会……つまり生徒会執行部の学校改善案一覧の確認。

やることが多い。それでも遥弥の支部長としての仕事よりは少ないのだが、そういう話ではないのだ。


「チッ、やっぱり綾を放送で呼び出すか」

「好きにすれば」

「君ほんと何様？」


言いつつ応接室に特別に備え付けられた放送器具で、アナウンスをかけて綾を呼び出す。

放送を終えて、はぁ……と息をついた時、不意にコンコンというノックの音が耳に届いた。

雲雀が何かを言う前に「どうぞ」と答えてやれば、思いっきり睨みつけられた。ざまあみろである。


「失礼！」


入ってきたのは黒い制服の女性＿＿＿＿といえそうなほどに大人らしい肢体をした少女だった。

遥弥はその姿に見覚えがある。未来でももちろんだが……今日並中に転校してきた3年生だからだ。


「あなたが並盛中風紀委員長雲雀恭弥」

「誰、君？」


面倒なのが来た。綾よりも先に。

心からそう思った。第六感に大した自信はないが、途轍もなく嫌な予感がする。


「志門中学3年、鈴木アーデルハイト」


3年なら知ってるだろ、という目を執務デスクから向けられて、遥弥は嫌々ながらも頷いた。

なんでわざわざ補足説明をせねばならないのか。面倒な。


「……はぁ。俺と同学年の転校生だよ。聞けばわかるでしょ」

「雲雀遥弥か」

「そうだけど。ちなみに俺は風紀委員じゃないから、面倒事に巻き込まないでくれる」


未来で疲れたのにこれ以上は勘弁。

……そんなことを考えながらため息をつくと、今度は慌ただしい音が聞こえてきて、

綾が中に駆け込んできた。

789話です→←787話です【継承式編】

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