彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第十四章】 (ページ8)

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636話ページ8

遥弥は往生際が悪い、とばかりに大きくため息を吐いた。

ひと悲鳴を漏らす綾から、つまみ食いしようとしていたらしい煮豆の鍋を取り上げると冷蔵庫にしまい直す。

「君は本当に学習しないね」

「うぐうううう……」

悔しげに唸る綾を冷ややかに見つめながら、朝食の準備を進める遥弥。

完全に無視されて次はユキにすがろうとした綾だったが、そのユキにまで見捨てられて地に伏せる。

「……仕方ないな。朝食のあとにデザートつけてあげるから、それで我慢しなよ」

「うっそ！ほんとに！？」

「新しく客人が来たからね。特別だよ」

「ディーノ様！！」

ありがとうごぜえます、と謎の祈祷を始めた綾を見て、ドン引きした目をしたユキが遥弥に目を遣る。

「珍しく甘いですね、遥弥さん」

「まあ、女に優しくしないとうるさいのが二人もいるからね」

「ああ……」

恭香とティナのことだろう。

妙に納得してしまってユキが深く頷いていた時、笑顔のディーノが食堂の中に入ってきた。

今朝はラフなＴシャツ一枚だが、眩しいほどの笑顔と金髪は、相変わらずの彼の美貌を引き立てている。

「よお、皆。おはよう」

「おはようございます、ディーノさん」

「おい綾、お前どうしたんだそんなところで祈ってて……。

ってうぉっ、恭……じゃなくて遥弥か。驚いたぜ……眼鏡してないともう本人だな、お前」

「毎回そのリアクションは結構ですよ……おはようございます、ディーノさん」

確かに今の遥弥の恰好は並中指定のワイシャツにベスト、それからスラックスだ。

見分けるのに慣れた人間でなかったら、確実に見間違えるだろう。

とはいえ二度目はさすがに、と思いながら遥弥は頭を下げる。

……なぜか盛大に怪訝な顔をされた。

「……答えがだいたい予測できるので聞きたくないんですけど。どうされました？」

「いや……多分予測されてるんだけど答えるな。

恭弥の顔恭弥の声で敬語使われると、ものすっごい違和感あるんだよ」

「ええもう、揃いも揃って10年後の輩は全員そう言いますね」

綾がうんうんと頷く。遥弥は父に似ていると言われるのは好きではないが、瓜二つなのは否定の使用がない。

目の前にしたときは自分でも鏡でも見ているのかと思った。

「茶番はやめて、そろそろ朝食にしよう。ユキ、これ運んで」