彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第十四章】 (ページ33)

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『ついにきたね』

いつもニコニコと年相応な笑顔を浮かべているティナさんか珍しく真剣な笑顔で言い放った。

そう、今日はついにチョイスの当日なのだ。なので皆さん、どこか緊張しているのか張り詰めた空気が緩んでいない。

……と思っていたのだがそれは一部の人間らしい。目の前にいる、ティナちゃんは真剣な表情を崩して笑っているし、綾は綾で昨日遥弥さんが冷蔵庫に作り置きしていたドーナツを食べている。緊張のカケラもないいつもの光景に私は肩を少し落とした。

『とりあえず……綾ちゃん？その手に持ってるドーナツを皿に置こうか。そろそろ準備しなくちゃいけないんじゃない？』

「……ティナちゃん。私、どうしてもこのドーナツを全て食べ切りたいんだ。それが作ってくれた遥弥さんへの最大の感謝なのだと私は思う」

カッコよく言ったつもりなんだろうけど、……カッコよくないから。

「……母さん、綾さんはどうやらお留守番をしてくれるみたいだ。置いていこうか」

「マッハで食べますんでちょっとお待ちくだせぇ！！」

慌ててドーナツを食べる綾に遥弥さんははあっ、と息を吐く。

「全部は食わないでよ。そのドーナツはランボ達のおやつも含まれてるんだから」

「あ、遥弥兄さんごめん。食べちった」

「よし。綾はしばらくおやつ抜きでも大丈夫そうだね」

「ごめんなさいごめんなさい！！それだけは何卒ご勘弁をぉぉぉ！！！」

「あら、何か騒がしいと思ったら、こんなところで何をしているのかしら？」

遥弥さんに全力で綾が頭を下げていると恭香さんがやってきた。遥弥さんがげっ、っといった顔をする中、前に一歩踏み出す。

「っ、恭香姉さん！！」

「……何しにきたの？」

「別に。水を飲みにきただけよ。それにしても女性に頭を下げさせるなんて男の風上にも置かないわね」

「あ、あの恭香さん。それは全体的に綾が悪いので遥弥さんを責めないでやってください」

「そうだよ、恭香お姉さん。食いしん坊な綾さんが悪いんだ。そろそろあだ名を食いしん坊将軍から食いしん坊関白に昇格すべきじゃないかな」

「なんか偉くなった！？？え、食いしん坊将軍には上の位があるの！？？……じゃなくて二人とも酷い！！」

遥弥さんの援護に回る私と悠弥にピクリと眉を動かす恭香さんはうっすらと笑みを浮かべた。

「あら。別に責めているわけじゃないのよ」

『そーそー。恭香ちゃんなりの愛情表現だよねぇ？』

いや、そうとは思えないのだが……