彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第十四章】 (ページ4)

今日:25 hit、昨日:1 hit、合計:9,584 hit

632話ページ4

「……やばそうだね」

上についた遥弥たちが目撃したのは、オレンジ色の炎を纏った獣が10代目を襲っている光景だった。

悠弥とユキが色を失って口々に彼の名を呼ぶが、10代目は「危険だ、下がってろ！」というだけだ。

辺りを見回すが、恭香の姿はない。既に自室に引っ込んでいるのだろう。

「ツナ！！」

突進を押さえきれずに壁に激突した10代目を見て、ユキが悲痛な声を上げる。

獄寺が前に出ようとするのをバジルと止めながら、遥弥はぐっと唇を噛んだ。

あれは彼の匣兵器、ナッツだ。傷つけるわけにはいかない。

「拙者が鎮めます」

雨属性の匣兵器を出したバジルが、雨イルカ……アルフィンを出す。

確かに雨の特徴は『鎮静』。暴走を鎮める力もあるだろう……が。

ボンゴレ匣と、ただの匣アニマルでは格が違う。

一瞬苦しんだ大空の獣だったが、逆に反発して炎を辺りに飛ばした。

「や、やばい……ユキ！！」

「母さん！」

その炎の一部がまっすぐにユキに向かって飛んできて、綾と悠弥が真っ青になる。

遥弥も対応が遅れて目を見張ったが……その刹那。

彼女の前には分厚い氷の壁が立ちふさがり、冷気が場を支配した。

『やっほう、ユキちゃん。けがなーい？』

「ティ、ティナさん、リルさん……！！」

いつの間にかそこにいたのは、右手をかざした体勢のまま微笑むティナと、冷気の原因を作った匣幻獣(アニマル)のリルだった。

突然現れた氷の壁に戸惑った顔をする10代目守護者達だが、遥弥はもういいか、とばかりに武器を収めて肩をすくめる。

『ほーらぁ、何ぼさっとしてんの？今がチャンスでしょうたっくん。助太刀助太刀！』

「お……おう、サンキュー、ティナ！」

獣がユキに攻撃を飛ばしたために一瞬硬直していたが、彼の頭には既に協力プレーのことはあったらしい。

すぐに匣兵器を開けて雨燕を呼んだ。

そしてすぐに鎮圧されて収まった騒ぎに、皆が安堵の息を吐く。

『まだまだ未熟だねえ君たちも。あらゆる場面でも迅速な対応をしないと守護者なんて務まらないよ？

非戦闘員が騒ぎを聞きつけてやってくることも考えられるんだから、そのくらい想定しときなよ』

呆れたようなティナの言葉に、耳が痛いと守護者たちは目を背ける。

『ツナくんもだよぉ。トレーニングルームでならともかく、自室で匣兵器ほいほい開けるんじゃないよ』