彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第十四章】 (ページ22)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:9,560 hit

652話ページ22

……同刻、大食堂。

カップラーメンを啜る10代目守護者たちに対して、遥弥の前にはサラダとパスタの皿がある。

パスタはスパゲティではなく、茹ですぎを避けるためにペンネ。これはほうれんそうをベースにしたソースを絡めてある。

もう一品、クリームソースで味付けしたニョッキ。作りすぎてしまった分は、当然守護者たちではなく京子たちに寄付した。

「いただきます」

つまるところ要するに、飯テロである。

「こ、こんの……一人だけ優雅な食事しやがって……！」

「情けないね、家事の一つもまともに出来ないなんて。

女が全部やってくれると高をくくってた自分を省みるいい機会じゃない」

「て、てんめえ……！」

獄寺がぶるぶると拳を震わせるが、ストレスが溜まっていることで修行もろくに進んでいないために、言い返すことはできないようだった。

当然だね、と遥弥は料理を運ぶ。家事全般をこなすことができるのは、彼にとって当たり前のことだからだ。

飯テロは少しやりすぎな気もしたが、こういう嫌がらせじみた行為もそれなりに薬にはなるだろう。

「耳が痛いっすね。……こうなってはじめてわかるよな、オレたちだけじゃろくに修行も出来ねーって」

「本当だよ。もう戦いは迫っているって言うのに。オレたち、ほんとに頼りっきりだったんだな……」

10代目と山本が苦々しい笑顔で呟く。

家事をこなしてくれる女子たちのありがたみが身に沁みたか。

「やっぱり話すべきなんじゃ……」

「いかん！京子に何かあったらどうするのだ！！」

「そ……そうですよね！」

一瞬心が揺らいだらしい10代目だったが、了平の言葉ではっとしたように表情を引き締める。

そして付け加えるように遥弥を窺い見ると、少し微笑んだ。

「……すみません。オレたち、遥弥さんにも頼りっぱなしですよね。

京子ちゃんやハル、ユキたちにももちろんそうだけど、遥弥さんは修行もあるのに家事もしてて……。

今更だけど、その大変さに気が付いた気がします。ありがとうございます」

「……ま、それがわかったなら一歩前進なんじゃない」

フォークを置いて、遥弥は口角を上げた。

「俺も話さないという意見には賛成だけど、次は彼女たちに気持ちになって考えるべきだ。

少なくとも、それで歩み寄ることは出来るはずだよ」