第4話 ページ5
煉獄杏寿郎side
夢だと気付いた俺はここから出る方法を考えるべく、屋敷中を駆け回った。
Aと千寿郎が自らを呼ぶ声が聞こえたにも関わらず、無視をし続けた。
しかし屋敷中を駆けずり回っても何も分からない。
「どうすれば、抜けられるんだ‼」
その瞬間視界がぐにゃりと歪んだ。
頭上にポッカリと黒い大きな穴が開いた。
ここを通れば、夢から出られるのだろう。
しかし、ここを出てしまえば、Aには会えず、千寿郎も困ったような笑顔ばかりを見せる、あの世界だ。
一瞬の躊躇いがいけなかったのだろう。
黒い穴はみるみるうちに塞がってしまっていた。
「杏寿郎さん…っ」
駆けて来たのだろうか。
腹を抑えてうずくまりながら、息を切らしているAの姿があった。
「どう、したんですか?」
「義姉上大丈夫ですか⁉兄上も…一体…」
更に後ろから現れた千寿郎は、Aの背中を撫でて、心配そうな表情を作る。
「俺は行かなくてはならないんだ!竈門少年という隊士が頑張っている!俺は柱として助けにいかなくてはならない!」
「ああ、そうだったのですか。そうならそうと、おっしゃってくれれば良かったのに…。行ってらっしゃいませ。無事でお帰りを…」
「残念だが、俺はもう、ここには戻らない」
その言葉に2人は困惑した表情を見せた。
どういうことなのか、と目が言っていた。
妻も弟も父も置いてどこへ向かうのか、と。
すると、いきなり景色が変わった。
目の前には、酷く怒っている様子のA。
彼女が来ている着物には、べったりと血がついていた。
「役立たず‼あなたのせいで私は死ななければ、ならなかったんです‼お腹の子諸共死ななければならなかったのは、全部全部あなたのせいです‼」
「何のためにあなたがいるんです⁉守ってくれるんじゃなかったんですか⁉この大嘘付き‼」
ボロボロと瞳から大粒の涙をこぼしながら、俺を罵倒する姿は酷く苦しそうであった。
何故、罵倒している君の方が苦しそうにしているんだ。
何故、俺は君に罵倒されているんだ。
何故、そんなにも悲しそうに俺を見るんだ。
「すまない」
「すまない、で済むとでも思っているんですか⁉そんなわけないでしょう‼そんなわけないんですよ‼あなたは2つの命を殺したも同然なんですからね‼」
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スノードロップ(プロフ) - ユリさん» 最後まで、お付き合い有難うございました!続きですね…!?頑張らせていただきます! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 完結おめでとうございます。出来れば続きがみたいです (2019年12月11日 1時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - ツバサさん» とりあえず、話の流れと大まかな物語は書いているので、更新ペースを上げられれば、と思います!頑張らせていただきます! (2019年12月9日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - この後の展開が気になり過ぎて待ちきれません。更新頑張ってください (2019年12月9日 4時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - サクラさん» 有難うございます(*^-゜)vThanks!更新ペースは、遅いですが、最後まで見てくれると嬉しいです! (2019年12月2日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
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