第22話 ページ23
煉獄杏寿郎side
しまった‼
刀が無くては戦えない‼
もしAが今、正真正銘の鬼になってしまったら、俺はAを斬ることができない‼
自分の身すら、守れやしない‼
「返せ!」
「申し訳ありませんが、お断り致します」
彼女の顔は笑みを残したままだ。
その笑みは心配させない為の笑顔では無く、まるで……
そう、まるで…何かを隠すような笑みであった。
_この時は、まだ俺でも刀を奪うことができたんだ。しかし、刀を奪ってしまえば、Aを殺さなければならないという恐怖に再び取り憑かれてしまう気がして、奪い返すのを躊躇ってしまったのだ。_
「初めから刀を奪うつもりだったのか」
「ええ、そうですよ。先ほどまでの茶番も全て、貴方から刀を奪うためだけのお芝居です。どうです?なかなかに上手かったと思うのですが…」
彼女の声色は一切変わらなかった。
鈴のように鳴る、軽やかな美しい、耳障りの良い声だ。
「何故だ…」
だって…、と彼女は言葉を紡いだ。
「貴方から刀を奪ってしまえば、私の首を切ることはもう、できないでしょう?」
彼女の笑みを初めて恐ろしい、と感じてしまった。
話している間、何も変わらなかった。
声も笑顔も、視線も立ち姿も刀の握り方も、俺を見る目も。
気付いた時には、彼女は一目散に駆け出していた。
走りにくいはずの着物を着ているのに、目では追えないほどの速さで。
追わなければ、と考える。
しかし、追ったところでどうなるのだろうか。
俺はきっと、Aを殺せない。
.
.
.
.
何故追わなかったんだろうか。
_Aを殺すのが怖かったからだろう。_
それでも、追ってさえいれば…っ‼
_だがもう、遅い。後悔とはな、……後になって悔やむことを言うのだ。お前が今している後悔は…もう手遅れという事を暗に伝えているのではないか?_
ようやく動き出し、Aの逃げた方向へ足を進めた。
ゆっくりと。
できれば見つけたくない。
そんな思いから俺は、足を一歩出すのも躊躇ってしまっていた。
.
.
その瞬間、俺の目に映ったのはAの着物と俺の刀だった。
しかし、先ほどのようにそれを身に纏ったAはおらず、刀は鞘から抜かれ、夥しい量の血を被っていた。
262人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スノードロップ(プロフ) - ユリさん» 最後まで、お付き合い有難うございました!続きですね…!?頑張らせていただきます! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 完結おめでとうございます。出来れば続きがみたいです (2019年12月11日 1時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - ツバサさん» とりあえず、話の流れと大まかな物語は書いているので、更新ペースを上げられれば、と思います!頑張らせていただきます! (2019年12月9日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - この後の展開が気になり過ぎて待ちきれません。更新頑張ってください (2019年12月9日 4時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - サクラさん» 有難うございます(*^-゜)vThanks!更新ペースは、遅いですが、最後まで見てくれると嬉しいです! (2019年12月2日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ