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第21話 ページ22

煉獄杏寿郎side









「家へ戻ろう…疲れているんだ…君のこともよく考えれば良い」

もう1度彼女を抱き締めると、心なしか先ほどより暖かい気がして、内心ホッとしていた。

家に帰ろう、帰らなくては何も始まらない。



家でゆっくり話し合えば良い。




君が鬼だとしても、君への俺の愛は変わらない。

腹の子も君もまとめて守ろう。


お館様に直談判だってしに行こう。

「先ほど……」

彼女が疲れきったように言葉を紡ぐ。


「あなたは…拒否したでしょう?…無理しなくて構いません」

何を、とは言えなかった。






「違うんだ、A…!!俺は…」


「何も違いません………」






彼女は再び俺に手を伸ばしてきた。

先ほどよりもゆっくりと…。





「…ぁ」

俺の右手は知らず知らずのうちに、腰の刀の鍔に触れていた。

それは何よりの証拠で、彼女の歪んだ顔が目に入った。



「違っ……!」

「あなたを責めたいわけでは無いんです。あなたは別段間違ったことをしているわけでも、ありませんし…」




彼女の手は目の前で空を切り、もう一度静かに落ちていった。









彼女は俺の手の中から逃れるように立ち上がった。

俺に背を向けて数歩歩き、再びこちらを向いた時、彼女の顔は笑顔で溢れていた。

余すところなく、笑顔であった。



誰が、彼女の顔を偽りだと言うだろう。

それほどまでに精巧な作り笑いであった。








「さあ」

両手を広げ、俺に何か(・・)を促すA。





その何か(・・)を俺は分かっている。









.









.







.









.









「無理だ…」


ボソリと呟いた言葉は力を持っていなかった。

酷く弱く、たどたどしい声であった。






「何故ですか?早く…。…そうでないと、私があなたを襲ってしまうやもしれません…。一般の方に危害を加えないとも限りません。ですから…」

彼女は笑みを深めながら、一歩俺に歩み寄ってきた。









決断しなくてはならない。





刀の刃が雪を写す姿が美しいなどと、場違いなことを思ってしまう。









彼女が更に一歩、こちらに向かって歩んでくる。

その動きに合わせるように、俺も一歩、彼女の方へ歩みを進める。

Aが数歩歩いて作った距離は、あっという間になくなってしまった。





その瞬間、瞬きすらも遅いと感じてしまうような速度で、Aは俺の刀を奪い取った。

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スノードロップ(プロフ) - ユリさん» 最後まで、お付き合い有難うございました!続きですね…!?頑張らせていただきます! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 完結おめでとうございます。出来れば続きがみたいです (2019年12月11日 1時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - ツバサさん» とりあえず、話の流れと大まかな物語は書いているので、更新ペースを上げられれば、と思います!頑張らせていただきます! (2019年12月9日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - この後の展開が気になり過ぎて待ちきれません。更新頑張ってください (2019年12月9日 4時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - サクラさん» 有難うございます(*^-゜)vThanks!更新ペースは、遅いですが、最後まで見てくれると嬉しいです! (2019年12月2日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スノードロップ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年11月17日 0時

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