第弐幕、戦国時代に飛んだ元一般ピーポーは最強のさすらい人らしいです。 (ページ44)

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第八十四戦目　貴「馬鹿でっかい城の中にて」ページ44

そのでっかい城の中side～

？「貴様・・・お二方から呼ばれて何故そんなにも遅い！！」

？「お前の足が速すぎるんだぞ」

？「やれ、城内で恐慌を使わずともよかろ」

？「何を言っている！お二方が呼んでいらっしゃるのだぞ！！」

？「まぁ、お前さんたちよりも先に小生が到着したんだがな」

？「・・・・・・」

？「気を静めやれ。太閤たちが待ちわびておるぞ」

その言葉に話すのをやめた三人。そしてため息をつく一人。
四人が行儀よく座った所で正面の襖があき、二人の男が入ってきた。

？「集まってくれてありがとう。大した用事じゃないけど耳に入れておいてほしい事があってね」

紫の仮面をつけた男は微笑みながらそう言う。
対してもう一人の男は表情を変えることなくどっかりと座りこむ。
それを見た仮面の男は「僕も座らせてもらうよ」と零し腰を下ろした。

？「どこから話そうか・・・うん、そうだね。宇都宮軍の話を聞いたかい？」

？「豊臣に進軍しようとしている動きの事ですか？」

ツンツンと立った髪の毛をかしげながら問う黄色の青年に拳が入る。
横に座っている青年の拳なのだが・・・

？「貴様は馬鹿か！二度も同じ話をなされるわけがないだろう！！」

？「落ち着きやれ」

殴った青年のさらに隣りから待ったがかかり、不満げにしながらも言葉を止めた青年。
それを見計らったように仮面の男が再び口を開く。

？「で、宇都宮軍だけど・・・上杉領付近で先方隊が撤退したみたいなんだ」

？「それは上杉にやられたってことでいいのかね？」

？「そんな事だったらわざわざ集めはしないよ」

だろうなと分かっていて聞いた男は呟く。さっき青年を止めた男もふむ・・・と考え込んでいる様子。黄色の青年はなにも考えておらず、また横の青年が殴ろうとする。

？「考えてないからって殴るのは少しやめてね・・・・・続けるよ。宇都宮軍先方隊を撤退、いや潰したと言ってもいいね。そうさせたのは軍でもなんでもない。一人だ」

？「は？」

？「へ？」

？「む」

？「・・・ひとり・・・とは？」

二人が素っ頓狂な声、一人が考え込むように唸ったとは別に、ギリギリ情けない声を上げるわけにはいかないと見つくろう事に成功した青年は仮面の男に問い返す。

？「そのままの意味だよ。たった一人。それで騎馬隊とやりあって退けた人間がいる」

？「小生、そいつを人間だとは思えないんだがねェ」

？「暗よ、黙って聞きやれ」

？「へいへい」

仮面男の話は続く。