第二百二十一戦目 貴「何を恐れる」 ページ33
引き続き、松永side〜
松永「卿が早起きとは。今日は真夏日にでもなりそうなものだ」
貴「・・・・・」
松永「何かあったのだろう？」
別に・・・と答えたきり黙りこむ。
目も合わせようとしないA。仕方ない、少しばかり言葉遊びに興じるか。
松永「ところで、卿の頬に滴が付いているのだが、雨でも降ったかね？」
貴「ッ！？」
慌てて頬に手を当てるA。
しかし滴など付いていないと気づき、私を鋭く睨む。
いやいや、卿が素直なのがいけないのだよ。
松永「冗談だ。代わりに目が腫れている」
貴「泣いてない」
松永「それは泣いていたととってもいいのだな」
貴「・・・・・」
これ以上このことを言及すれば本当に黙ってしまいそうだな。
話の内容を変えるとしようか。
松永「卿はそんな髪色をしていたかね？よもやまだ私の目は正常だと思いたいが」
貴「・・・老眼じゃね？」
松永「そうか・・・ならば卿の左目は」
言い終わる前に、私から離れていたはずのAの身体が目の前に。
私の首筋には彼女の愛刀が添えられている。勿論、抜刀済みのものが。
松永「はは、これはこれは。卿はどこまで私を驚かせれば気が済むのだね」
貴「・・・」
松永「卿がこれほど敵意をむき出しに出来るとはね」
貴「・・・黙れ」
松永「髪も緋色」
貴「黙れよ」
松永「おまけに両目の色が違うなど」
貴「黙れ！！」
チリリと首に痛みが走ると同時に、温かいものが這って行った。
少し切れたのだろう。なに、大した傷ではない。
それよりも・・・だ。
松永「卿は何を恐れているのだね」
貴「え・・・」
一瞬、ほんの一瞬だけ気が逸れたA。
その瞬間、首筋にあった刀を右手で掴んで取り上げ、離れた所へ投げた。
我に返って距離を取ろうとするAの腕と肩を掴みその場にとどまらせた。
松永「もう一度問おう。卿は何を恐れる」
貴「まつ・・・なが、さん？」
威嚇だけだった右目に戸惑いが混じる。
なおも逃げようとする彼女を逃がすまいと掴む手に力を込めながら口を動かす。
松永「先ほど私は卿を否定したかね？蔑んだかね？」
貴「・・・」
松永「私は見た事実を述べただけだ。感想は何も言っていない」
貴「でも・・・」
松永「卿は私に否定され、蔑まれるのを厭い、逃げようとした。私の言葉も聞かずに」
貴「・・・・・・」
松永「聞いてからでも遅くは無いよ」
じいっと本心を探るように私の目を覗き込む彼女の目は紅い。
恐怖を滲ませた悲しい紅。
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繭姫(プロフ) - 第二百九戦目の歌龍ちゃんの嘘つけのセリフの前、“貴”が“気”になってますよ。((なんか上からみたいでごめんなさい(真顔) (2017年1月24日 6時) (
レス) id: 2b2cd99b08 (このIDを非表示/違反報告)
アルバ - この関連の作品は全部見させて頂きました。とっっても面白かったです(*^^*)頑張ってください！(*≧∀≦*) (2016年11月10日 10時) (レス) id: 7ff89f602e (このIDを非表示/違反報告)
はる - 松永さんカッコイイ.*･ﾟ (2016年10月15日 14時) (レス) id: 667d20a7e0 (このIDを非表示/違反報告)
尽八 - 何時も楽しみにして待っています。次の章も更新宜しくお願い致します。 (2015年5月17日 9時) (レス) id: ac845ea978 (このIDを非表示/違反報告)
イザーク(プロフ) - なんだかとても奥深いですね…、いつも更新される度読ませていただいてます！信長さんの時も微量ながらに感動しました！これからも頑張って下さいっ！応援してますっ (2015年5月17日 2時) (レス) id: dd74dcea3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：作戦隊長
| 作成日時：2015年4月18日 20時
