八百二十話目 「どこまでもバカ」 ページ24
身構えつつも起きようとしたが体に力が入らず舌打ちを溢す。
すると下の階から登ってくる気配。知らないものだ。
「もう起きたのかい。タフだねえ」
「………誰だ」
「ヒーーッヒッヒッヒッ！命の恩人だってのに殺気あてられちゃァたまったもんじゃない」
愉快そうに笑う老婆に苛立ちを隠せない。
いや、隠すつもりもなくぎろりと睨めばまたもやご機嫌に笑われる。
下手に口を開くのも悪手だと黙っていれば目の前の老婆がようやく笑うのをやめた。
「ま、命の恩人はあっちの方だろうけどね」
奴が視線を向けた先。カーテンの向こうに嫌というほど覚えのある気配を感じる。
また老婆が笑った。
「お前を苦しめていた病気はキュウソネコカミ病っていう、今となっては珍しい病気だ。ネコ科にしか感染しないのになんでまた」
「………」
「医者の質問には答えるもんだよ」
「………俺はゾオン系能力者だ」
「合点がいった。で、感染経路に心当たりはないのかい？例えばネズミ科の動物に噛まれた………といっても、そのウイルスを持っているネズミは絶滅寸前だけどね」
「ネズミ？……ないな」
「なら、コレだろうね」
左腕をつつかれる。
「注射痕だ。なにか覚えがあるだろ？」
「………」
「ともかく、あの小娘に感謝しな。あたしが診るのが少しでも遅けりゃ死んでたよ」
「……バカは何をしている」
「ずっと寝てるよ、極度の過労でね」
お前もどうせ動けないだろうから寝ていろと言いながら老婆は引き返して行った。
………何処までもバカだな、あいつは。
誰かが頭を撫でている。
……温かい。気持ちがいい。夢うつつの状態だけど、誰かの体温を感じる。
「A」
呼ばれた。
返事しないと怒られるってのは分かってるけど……もう少し。
「A」
頭を撫でる手が俺の髪の毛で遊んでいる。
目は閉じてるからわかんないけど、たぶん……人差し指で髪の毛をひと房取って、くるくるってされてる……で、その後に少し浮いたひと房を戻すようにまた撫でるのだ。
「A」
ん……起きるからもう少しだけ待ってください。
もう少しこうしてたいんです。
でも目くらい開けないと殴られそうだな。
そろそろと瞼を開く。ぼやけた視界。数回瞬けばちょっとだけクリアになる。
「A」
『る、ち…さん？』
「あぁ」
短く返事したルッチさん。
俺の頭を撫でる手が前髪に移動した。さら、と触られる。
瞬間、ものすごい力で前髪を引っ張られた。頭頂部あたりの髪の毛もまとめてだ。
八百二十一話目 「すぐそこにあった死」→←八百十九話目 「意識を飛ばせど意地は捨てず」
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夜月レナ(プロフ) - はじめまして(*^-^*)すごく楽しんでに読ませてもらってます（語彙力orz） 更新頑張って下さい(’-’*)♪ (2019年9月6日 21時) (
レス) id: 1844904407 (このIDを非表示/違反報告)
sile - いや最高すぎません？？めちゃくそルッチさん好みにどストライクなんですが。ルッチさんオチだといいなと思ってます(してほしい)ゆっくりで構わないので更新頑張ってください！お体には十分気を使った上でですよ…？w (2019年8月18日 0時) (レス) id: 801c11ec84 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 最高です。これからも応援してます。 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
レン - ウォォォォォォォォオ！！！！！！！メッチャ面白かった！！！さっっっっっっっいこっう (2019年7月18日 6時) (レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
シスター - 初めまして。シスターと申します。最初の作品から見させて頂きましたが、良い展開になって来ましたね！次が更新されるのが楽しみ過ぎて眠れないですwオチはルッチさんですかね？私の推しなので嬉しいです！ (2019年6月11日 11時) (レス) id: be6a289acb (このIDを非表示/違反報告)
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